【観光人材を育てる 大人の武者修行2】「道の駅で地域活性化を学ぶ」ちば南房総


観光人材を育てる 大人の武者修行

 国道127号沿いにある「道の駅とみうら・枇杷倶楽部」(千葉県南房総市)は、2000年の「道の駅グランプリ」で最優秀賞を受賞し、全国の道の駅の中でも名高い。サービス産業生産性協議会の社会人インターンシップ「大人の武者修行」では、受け入れ修行先として約100社の優良企業・団体を抱えているが、枇杷倶楽部を運営する「ちば南房総」もその一つだ。

 枇杷倶楽部は、「産業と文化の拠点」と「情報の発信基地」を目指した道の駅。富浦特産の「房州びわ」にちなみ、たくさんの出会いのある「倶楽部」となる願いを込めて名付けられた。

 外部にアピールする地域資源として一番に着目したのは、もちろん房州びわ。天皇陛下へも献上されている名産品だ。その出荷規格外のものを活用し、ジャムやゼリー、ソフトクリーム、カレーなど40種類以上のオリジナル商品を開発、販売している。

 「地域と共存共栄する道の駅」のモデルと言っていい枇杷倶楽部だが、立ち上げ時には地元から反対の声が上がった。設立構想では地元住民を販売の対象としており、商業者たちが需要を奪われると恐れたからだ。そこでメインターゲットを地域外からの観光客に切り替え、地元の理解を得て、枇杷倶楽部は1993年11月にスタートした。

 域外から観光客を呼び込むために構築したのが、「一括受発注システム」と呼ぶ仕組み。枇杷倶楽部と、富浦町を中心に近隣の市町村も含めた、食事処や花摘み・味覚狩り体験などの観光素材とを組み合わせ、それらの手配をまとめて行うもので、南房総の地域資源を総合的に旅行会社へ売り込んだ。旅行会社にとっても利便が良く、このシステムによって、日帰り観光バスの誘致に成功した。

 中央タクシー(長野市)の旅行事業部に所属する曽根原勇貴さんは、2014年に大人の武者修行を活用し、枇杷倶楽部など、ちば南房総が運営する施設で11日間研修。地域と共存共栄する地域活性化ビジネスの手法や姿勢、マインド論などを実際に働きながら学んでいった。

 また、旅行商品づくりのヒントもつかんだ。道の駅での体験メニューとして行われているフラワーアレンジメント教室の接客業務を経験。「当社の募集型企画旅行でも、観光地でただ見学するだけでなく、今後はお客さまに『人との触れ合いながらの思い出づくり』を楽しんでほしいと考えているので、非常に参考になった」と曽根原さん。

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