夕食の選択肢広がる 予約システムを開設
長野県阿智村では、昼神温泉宿泊施設連携推進協議会を組織し、日本版DMOの阿智☆昼神観光局、旅館・ホテル、飲食店が連携した泊食分離の推進事業に取り組んでいる。
星空を観賞するナイトツアーによる「日本一の星空」のブランドで誘客に成果を上げているが、新たにマーケットになった首都圏、関西圏などの若年層には、旅館で主流の1泊2食という既存の宿泊形態は、必ずしもニーズにマッチしていない。リニア中央新幹線の開通を見据えながら、若年層、外国人、長期滞在者などへの対応を目的に掲げた。
観光庁事業で派遣された外部有識者の助言を受けながら関係者会議で事業の具体化を検討。旅館、地域にとっての泊食分離のメリットやデメリットを理解した上で取り組みへの認識を共有。宿泊客が他の旅館や飲食店でも夕食を食べられる泊食分離の仕組みを検討した。参画旅館が泊食分離プランを企画し、施設間で内容や価格の調整を行った。
阿智☆昼神観光局総務事業部長・観光局事務局長の村松晃氏は「女性客を中心とする若年層、増えつつある外国人客の旅の過ごし方を考えた時、一部の旅館の間には泊食分離に取り組もうという機運はあった。意志のある旅館にトライしてもらい、結果を検証していく」と話した。
泊食分離商品の造成、販売に向けて、泊食分離予約リクエストシステム「昼神旅ちょ!」というウェブサイトを2018年12月12日に開設した。参画施設は、ユルイの宿恵山、石苔亭いしだ、懐石と炉ばたの宿吉弥、日長庵桂月、おとぎ亭光風の旅館5軒と、飲食スペースを備えた観光拠点「ACHI BASE」。
宿泊する旅館・部屋を選んだ上で、夕食は他の旅館や飲食店のプランも選択できる。例えば、ユルイの宿恵山のスタンダードの宿泊と、懐石と炉ばたの宿吉弥の信州牛付き懐石料理を組み合わせたりできる。昼神温泉にアクセスするバス、着地での観光・体験、レンタサイクルなども併せて予約でき、宿泊なしで夕食と観光・体験だけの予約も可能にした。
リクエストシステムを通じた予約が入り始めているほか、泊食分離に関する電話での問い合わせも増えている。事業の成果を検証しながら、19年4月以降もシステムを継続的に運用していく考えだ。
泊食分離予約リクエストシステムをPRするポスター