観光庁が2025年度予算の概算要求額を公表した。要求額は620億円。このうち一般財源は24年度当初予算比1.5倍の150億円。国際観光旅客税(以下、旅客税)財源は同1.2倍の470億円。持続可能な観光地域づくり、地方を中心としたインバウンド誘客、国内交流の拡大に向けた施策に充てる。
持続可能な観光地域づくりでは、オーバーツーリズムの未然防止・抑制などを支援する「地域における受入環境整備促進事業」に14億円、宿泊業の人手不足対策を総合的に実施する「観光地・観光産業における人材不足対策事業」に3億円、コンサルタントの派遣などを通じて宿泊業の運営改善を促す新規事業「観光産業再生促進事業」に3億円など。
地方を中心としたインバウンド誘客では、「戦略的な訪日プロモーションの実施」に55億円。大阪・関西万博を契機に全国各地への誘客を拡大するプロモーションを日本政府観光局(JNTO)を通じて実施する。この他に、DMOを中心とした地域一体の取り組みに補助金を交付する「地方部での滞在促進のための地域周遊観光促進事業」に6億円など。
国内交流の拡大では、「第2のふるさとづくり」などを推進する「新たな交流市場・観光資源の創出事業」に7億円、宿泊施設の施設改修などを支援する「観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズムの創出事業」に5億円など。
旅客税財源の具体的な使途は、予算編成の過程で決定する。観光庁の事業以外に、出入国管理、国立公園、文化財の活用など、他の省庁が実施する観光関連事業にも充当される。
一般財源、旅客税財源の他に、復興枠として東日本大震災復興特別会計で要求する観光予算に8億円。福島県の観光復興と、東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に伴う風評対策に充てる。