【観光業界人インタビュー】じゃらんネット編集長 東窪幸博氏


じゃらんネット編集長 東窪幸博氏

じゃらんのネット戦略

手数料半額施策を実施 お宿と共に成長したい

国内旅行情報誌じゃらんの宿泊予約サイトとして、2000年11月に開設。登録施設数は、10800軒(旅館、ホテル比率は5割ずつ)。04年度の年間宿総売上は、500億円(03年度273億)。総取扱人泊数は、02年135万人、03年243万人、04年534万人。

──ビジネスモデルは。

 「楽天トラベルと同じ。第3種旅行業登録をしているが、旅行業務は行っていない。インターネット予約システムをお宿に提供。成約実績に応じてシステム利用料をもらう。成果報酬型の宿泊予約サイト業だ」

──同ビジネスの先駆者は。

 「おそらく旅の窓口(現、楽天トラベル)ではないか」

──システム利用料率は。

 「宿の1人利用予約で4%。2人以上利用予約で8%」

──なぜ1人は低率なのか。

 「旅の窓口より後発。雑誌じゃらんが母体で、温泉旅館とは取引実績があったが、都市部ホテルには弱かった。登録施設をふやすため1人利用予約の料率を下げた」

──ポイント制の内容は。

 「会員ユーザが宿に泊まると、次回使える5%分のポイントがたまる。さらにポイントをためて無料宿泊券と引き換えることもできる。ユーザがポイントを利用した時点で、宿の負担が発生する」

──スタッフ数は。

 「『じゃらんnet』の編集スタッフは約20名。じゃらん専属の営業が312名。他に全国で7版発行している『じゃらん』『おとなのいい旅』の編集スタッフが各地にいる」

──営業の役割は。

 「1軒1営業担当で、雑誌の広告営業と宿泊サイトのコンサルタントを兼務している」

──システム利用料値上げ、客室アロットメント制採用、最低料金保証制導入の予定は。

 「全くない。検討外だ」

──現状のシステム利用料でコストを維持できるのか。

 「ユーザの増加に伴って、サーバー増強等システム投資は行っているが、転嫁はしない。いまは宿泊予約サイトの拡大成長期。ユーザが増えても、部屋在庫がなければビジネスができない。宿に部屋を出していただくのに、ブレーキはかけたくない。ユーザと宿に対して、利便性やサービス内容を損なう行為はしない」

──課題は部屋数の確保?

 「早めに部屋在庫を登録してもらうために、キャンペーンをやる。宿泊日の2カ月前までに入った予約は、システム利用料を半額にする。2人以上利用なら4%、1人利用なら2%にする。8月22日宿泊分から年内宿泊分までの期間限定で実施。好評なら継続する」

「ネット宿泊予約の市場動向について、我々の見解は楽天さんと一致する。かつて宿泊サイトは、お宿が余った部屋を直前に在庫処分する場だった。いまは違う。ネット予約は、宿泊予約の本流になりつつある。無視できない成長パワーがある。早期予約へのユーザニーズも高まっている。早めに予約が入るのは宿にもメリットのはず」

──楽天の新契約体系導入をどう思うか。

 「感情を棚上げして、のまざるを得ない、というのが宿の本音ではないか。最終的には、ビジネス判断。予約サイト側は、どれだけの予約をお宿に返せるかが大事。我々は、システム利用料半額キャンペーンをこのタイミングからはじめる。予約実績を上げ、結果で評価されるよう努力する」

──旅行会社として旅行ビジネスに参入する予定は。

 「現状はない。旅行業に踏みこんで、ユーザや宿に対するサービスレベルが上がるならやる。消費者責任を負う旅行業に入って、業態維持のために手数料を上げるのでは能がない」

──大手旅行会社のサイトをどう思うか。

 「提供しているサービスが違う。ユーザは旅行会社からクーポンを買う。我々は、現地でお宿に直接支払ってもらう」

──大手旅行会社の介在で、宿は宿泊料や取消料が担保される。宿泊予約サイト業のノーショー対策は。

 「ユーザと宿のお金のやりとりには関与しない」

──宿泊予約サイトの成長はこのまま続くか。

 「成長率の鈍化はあっても、3~5年間はつづく」

──既存旅行会社とのシェアは変わるか。

 「ネット宿泊予約が、宿泊需要全体に占める割合は、増える。構成比は変わる」

──最後に一言。

 「お宿と共に成長していきたいと思っています」

【ひがしくぼ・ゆきひろ】
95年リクルート入社。人材総合サービス事業営業部、組織人事コンサルティング室、中途サイトリクナビNEXT編集部を経て、04年10月より現職。33歳。

じゃらんネット編集長 東窪幸博氏

 
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