【観光業界人インタビュー】国際観光施設協会会長 鈴木 裕氏


国際観光施設協会会長 鈴木 裕氏

国際観光施設協会のかじ取り

CSVでブランド化を エコ・小活動継続実施

──6月の総会で会長に就任しました。

 「第9代会長を拝命したことはとても名誉なこと。責任を痛感している。中山前会長は協会の公益社団法人化に尽力され、エコ・小活動を通して観光地でのエネルギー問題に積極的な提案をされた。私の使命は観光立国の機運の中、日本の役に立つよう、協会活動を広く社会に認知してもらう組織にすることだ」

──改めて施設協会の活動について伺いたい。

 「創立以来、今年で62年を迎える。戦後、外国人客をお迎えできる国際的なホテルを整備すべく、情報発信と啓蒙活動を意図して国際観光設備協会として発足した。後に現協会名に改称した」

 「設計事務所、施工会社、メーカーなど観光施設に関るさまざまな技術分野の専門家の集まりで、日本を代表する企業が正会員(207社)となっている。また、旅館・ホテル経営者らが賛助会員(43社)として入っている。観光のハードの部分で社会に何か役立つことはできないかという志のある方々が集まっている。国際観光振興に寄与する技術を基盤に、社会貢献をする唯一の公益社団法人と自負している」

──会長としてまず何をやりますか。

 「これら会員のパワーを結集し、協会をブランド化していきたい。CSV(Creating Shared Value)という概念がある。すなわち『中長期的な視野を持って、社会的意義のある事業活動を行うことで、社会とステークホルダー(利害関係者)双方にとって価値を創造していく』という考え方だ。協会にとって打ってつけの概念だと思う」

 「今活動している内容、これから始めること、それらにCSV的企業として、会員には全社参加していただき、力を結集する。米・エール大に『メディア・ラボ』という組織がある。組織の絶妙な組み合わせを実現することで全く新しい成果を生んでいる創造的機関だが、我々はCSVで観光のハードに貢献する観光空間・ラボというブランドになり、日本ブランド創造の役に立っていこうと思っている」

 「そのために、私は広告塔となって、いろんな場で協会の活動をアピールしていく」

──エコ・小活動は環境省から表彰されました。協会独自の取り組みですね。

 「エコロジーの考え方で自然環境を保全し、土地の力や美しい風習、生活文化を生かし小さなエネルギーで動く持続可能なシステムのことであり、個々の施設や地域への普及を目指している。サスティナブル(持続可能な)社会、観光を考えるとこのシステムは少子高齢化の日本に最適だと思う。15年度も引き続いて取り組み、長野県での地域エコ・小活動の実施、また温泉旅館でのエコ・小活動を進め、エコ・小認定制度の普及に努めたい」

──日本は木の文化ですが、建築においても木を意識しますか。

 「『木づかい』活動を展開している。森の国・日本の伝統的材料である木材の循環利用システムと、その結果としての里山風景を観光と結び付け、美しい日本の地方創生をバックアップする事業だ。15年度事業計画では『5年後のオリンピック東京大会を控え、木材等自然材料の利用とし、日本の自然環境から掘り起し林業再生から観光産業への連携の有り様を模索し、観光施設における、エコ材料である木材の利用促進を図る』とした」

──国際ホテル・レストランショー(ホテレス)での活動も積極的です。

 「協会活動の年間の集大成として位置付けている。今年2月のホテレスでは『日本のこころ』をテーマに、(1)匠のこころ(2)旅するこころ(3)木づかいのこころ(4)エコ・小のこころ—の四つについて展示、講演を行った」

 「また、トレンドセミナーの一環として、旅館・ホテル、それぞれ最新5例を紹介し、世界と競争できる観光交流空間の施設の最新情報を発信した。来年のホテレスにも出展し、『エコ・小の相談デスク』なども継続実施していく」

【すずき・ゆたか】
早大卒、鹿島建設(株)を経て、1987年(株)観光企画設計入社。取締役、常務、副社長などを経て、2009年10月から社長。東京都出身、65歳。12年から施設協会副会長。

国際観光施設協会会長 鈴木 裕氏

 
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