楽天トラベルがこのほど発表したサイトの全面刷新について、CTOの星野俊介氏(楽天株式会社執行役員・ライフ&レジャーカンパニーチーフテクノロジーオフィサー)に聞いた。
――なぜサイトリニューアルを行うのか。
「楽天トラベルは前身のブランドを含めると1996年のPCサイトから始まり、そこから基本的には同じシステムのまま、デザインを改良してきた。ところが現在では、アクセスの6割以上はスマートフォン(スマホ)からとなるなど環境も変わり、サイトデザインや機能、そしてシステム自体も、それに合わせて抜本的に変えるべきと考えた」
――外資OTAや民泊サイトの画面のつくりはシンプルだ。
「新しい流れ、新しいサービスが次々と登場する。スマホの小さい画面に、ユーザーが求める情報を的確に表示することが求められている。世の中の好みの変化に合わせることが、宿泊施設のためにも必要となる」
「観光庁が発表している宿泊者数の推移から見ても、日本人宿泊客が今後爆発的に伸びることはない。インバウンド宿泊客は今後も伸び代がある。国内外の旅行者に利用され続けるプラットフォームへと進化させなければならない」
――リニューアルの方向性は。
「今回のリニューアルのポイントは『モバイルファースト』『グローバル』『シンプル』、そしてデータとAIによる『ベストマッチング』だ。このベストマッチングこそが私たちの強み。楽天経済圏の中で蓄積されたユーザーの趣味嗜好(しこう)、旅行傾向などのデータをAIが分析し、最も相性が良い宿泊施設や旅行先とマッチングさせる。楽天会員は現在、国内に約9340万人、世界に約11億人いる。最新のテクノロジーを使ったパーソナライゼーションによるベストマッチングはユーザーと宿泊施設の双方にメリットがあると思う」
――宿泊施設のカスタマイズページも新しくなる。
「新カスタマイズページは、フォーマットにタイトル、写真・動画、説明などを入力してもらう仕組み。一度の入力で多言語展開ができ、見た目も統一され、国内外の旅行者に見やすい作りとなった。情報の更新もSNSに投稿する感覚で簡単にできる、時代の流れに合わせたページになる」
【聞き手・江口英一】
※詳細は下記紙面PDFに掲載
http://www.kankokeizai.com/image/2018pdf/20180203_08.pdf