宿泊業の人材養成へ
学校の校舎
野口観光グループ(本社・北海道登別市)は、宿泊業の人材養成へ昨年4月に開設した職業訓練校「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」(野口秀夫学院長)に新年度、和洋中包括調理学科を新設する。2年課程で定員は1学年20人。既に入学者の選考を終え、15人の入学が決定している。
プロの調理人として必要な食品学、栄養学、調理学、公衆衛生学などの講義科目と、和、洋、中華、すし、デザートの調理、先端電化機器の使用法などの実技科目を2年間で2800時間履修する。グループホテルでの現場研修や経営管理、外国語、北海道観光の基礎知識の講義、各種資格の取得支援も行い、幅広い知識と視野を持った人づくりを目指す。
卒業後2年間の実務経験を要する調理師免許の取得にも受験講座などを開きサポートする。
入学金、授業料は無料。入学者は同グループの社員として採用され、給与が支給される。寮も完備している。
学院には昨年設置した総合ホテル学科もあり、新年度は2年生に進級する31人ほか、1年生32人が入学する。
観光業に携わる人材の確保が課題となる中、観光事業者が自ら養成機関を設けるのは珍しい。学院には全国の観光関係者から多くの問い合わせが来ており、その取り組みが注目されている。
野口秀夫学院長(野口観光グループ社長)に聞く
――応募者が多かったようだが。
「2学科で79人の応募があり、優秀で意欲的な学生が集まった。道内だけでなく、東北地方からも3人が入学する」
――開設1年間の状況は。
「関連資格の取得も進めているが、非常に良い成績をあげている。例えば、合格率が約65%の日本の宿おもてなし検定は、本学院は全員合格の100%だった。途中退学は病気による1人だけで、みんな熱心に取り組んでいる」
――学院設置の狙いについて。
「本来、観光業は楽しい仕事なのだが、その楽しさを理解しないうちに退職してしまう者が多かった。やりがいのある楽しい仕事であることをしっかり学び、分かってもらい、これからの観光を支える人材をとの思いで開設した」
――学生に期待することは。
「北海道は観光と食の王国。卒業後、さらに研さんを重ね、北海道を支えて活躍し、世界に向かって羽ばたく人材になってほしい」