【観光立国・その夢と現実 41】高付加価値化補助金の真の意義! 小原健史


 全旅連の井上会長の体制が発足したことは、前回のこのコラムに記載したが、今回はより詳しく述べる。

 過去3年間にわたるコロナ禍で“外出自粛”の号令のもと国内外からの利用客のそのほとんどが蒸発し、疲弊の極みにあった旅館ホテル業界に対し、雇用調整助成金や旅行支援などの施策が次々と打ち出されたが、私が最も高く評価したいのは観光庁の〔高付加価値化補助金〕である。

 この補助金は、コロナ対策の支援策の中でも唯一アフターコロナの宿泊業界に、事業を継続させる意欲を維持する物心両面を支えた施策である。具体的には老朽化した施設の改修工事や時流にあった新しい設備商品を作ることができるもので、その資金の半分を観光庁が補助し、都道府県によってはさらに4分の1を県が補助すると、自己負担は残りの4分の1でよいというありがたい支援だ。

 この補助システムには地元の金融機関も融資が付けやすく、過去に経験のないコロナウイルスに売り上げを吹き飛ばされ、やる気を失いかけた旅館ホテルの経営者に施設改修や新規商品を生む建設工事ができたことの効果は絶大だった。何よりの証拠に、私の地元の嬉野温泉でも、温泉観光地の町中がコロナ禍で不気味に静まる中で、約30軒のほとんどの旅館ホテルが改装改修工事を行い、不思議な雰囲気に包まれてもいた。このようなことが全国各地でみられたのではないか! 旅館ホテルや観光産業の事業所の”やる気”は維持されたと確信する。

 このような大きな効果をもたらした補助金を可能にしたのは、観光庁の柿沼宏明観光産業課長という旅館ホテル業界の現状を熟知し積極果敢に支援を断行した人物の存在があった(残念ながら今回の観光庁の定期異動で栄転されたが、心から敬意を表し感謝の誠を捧げます!)。また、当時の全旅連青年部の幹部たちの日夜を分かたぬ尽力とご指導、ご協力を頂いた国会議員の先生方の存在も忘れてはならない。

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