観光経済新聞社は6日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第15回配信を行った。日本ファームステイ協会代表理事の上山康博氏が、「アフターコロナにおける観光旅行業界注目領域『農泊』への取り組み」をテーマに講演した。
農泊とは、農山漁村に宿泊し、滞在中に豊かな地域資源を活用した食事や体験を楽しむ「農山漁村滞在型旅行」のことで、農林水産省も推進する施策。従来、教育旅行の受け入れなどで比較的安い単価で提供をしてきた農泊地域においても、農泊地域資源を観光コンテンツとして活用し、インバウンドを含む国内外の観光客を農山漁村に呼び込むことで持続的な収益確保、地域雇用の創出を狙いとしている。
上山氏は農泊推進について、「宿泊客の評価をみても、料金と提供している価値が異なっているのが現状。高付加価値化を進めながらも、本来の価値に見合った金額に設定していく必要がある」と伝えた。
後半は、街中や集落の古民家を客室に見立て、一帯で宿泊経営を行うイタリア発祥の分散型宿泊施設の国際認証制度「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)モデル」について解説。「地域全体で高付加価値化に取り組む上で、ADは有効的。海外の人々は日本人以上に日本を評価しているので、ぜひ海外の人々の目線で考えてほしい」と伝え、加えてADの今後の展開について、「5年間で他アジア地域を含む100施設への拡大を目指す」と展望を語った。