
講演した金井氏(右)と菊地氏
地方の鍵は「ストーリー」
観光経済新聞社は6日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第31回配信を行った。ニューホライズンコレクティブ合同会社の金井毅、菊地哲哉の2氏が、「地方の売れる仕組みの創り方」をテーマに講演した。
地域の商品開発・改良・販路拡大支援を行ってきた2氏は、地方の商品や観光地が売れるための成功の鍵は「ストーリー」にあると強調。事例として、SNSを通じて女性にもターゲット層が広がった「ミロ」や、ダイエット需要で再評価された「お茶漬け」などを挙げ、「共感される・選ばれる理由があるストーリーがあれば市場は広がる」と指摘した。
ストーリー開発のポイントとして、(1)消費者としての第三者目線を持つこと(2)スーパーマーケットなど売り場の現場を観察すること(3)TVや雑誌などから情報感度を高めること(4)SNSやニュースリリース配信サイトで発信すること(5)インバウンド市場へのアンテナを張ること―の五つを紹介。52週MDカレンダーの活用や、資金集めではなくテストマーケティングの場としてのクラウドファンディングの活用方法についても説明した。
これらのポイントを活用して成功した具体的な事例として、金井氏と菊地氏が企画に携わり、農林水産大臣賞を受賞した規格外の三陸産ワカメを活用した産学連携商品「チーズdeわかめ(ムラカミ)」を紹介した。
2氏は、「地域の資源を最大限に生かし、売れる仕組みを作るには、まずは自社や地域の強みを棚卸しして、ストーリーを見つけることが重要」「必ずしも大規模な開発をしなくても、既存の資源を磨き上げたり、見せ方を工夫したりするだけで人を引きつけることはできる」とアドバイス。視点を変えることで地方の観光や特産品の可能性が広がることを示した。
講演した金井氏(右)と菊地氏