
石原氏
観光経済新聞社は2月20日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第30回配信を行った。ホスピタリティデザイン横浜代表取締役の石原健氏が、「ホテル・旅館でのカスタマーハラスメント対策」をテーマに講演した。
冒頭、「カスタマーハラスメント(カスハラ)を受けた経験は過去3年間でパワハラに次ぐ多さになっている」と現状を指摘し、「時間拘束型」「リピート型」「暴言型」などタイプ別に対応策を紹介。特に、同じ顧客が何度も繰り返し不合理な要求をしてくる「リピート型」は、録音・録画による証拠保全を推奨。「相手に知らせず記録しても悪質な場合には証拠として認められるケースが増えている。一方で、事前に録音・録画を行う旨を伝えることで顧客の態度が穏やかになることもあるため、状況に応じて使い分けを」とアドバイスした。
また、宿泊施設でのカスハラ事例として「バリアフリー対応が難しい古い施設での車椅子の常連客対応」「全館禁煙施設での外国人客の強引な喫煙要求」などを紹介した。
最後に石原氏は、取引先やパートナー企業に対し、仕入れ価格の無理な引き下げ要求などでホテル側がカスハラの加害者となる場合がある点に言及。「自分たちが加害者になっていないか確認することも重要なハラスメント対策」と警鐘を鳴らした。
視聴者からの「まず、何から始めるべきか」との質問に対しては、自身が制作に携わった厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の活用や、従業員への教育研修の実施を推奨。また、外国人従業員への指導法については、「周囲の万全なサポート体制の構築が必要」と語った。
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