観光経済新聞社は7日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第25回配信を行った。EYストラテジー・アンド・コンサルティング社のパートナー、平林知高氏が、「観光地域づくりに向けたあるべき財源の方向性とは?」をテーマに講演した。
平林氏は、日本の観光業界が持続可能な発展を目指すには、DMOの安定した財源を確保する必要性を指摘。日本と米国のDMOを比較すると、両国とも公的財源に依存しているものの、日本は国や地方公共団体からの補助金や交付金への依存が大きく、米国のDMOは宿泊税の比率が高いため資金の持続性が高いと説明した。
宿泊税を財源とする場合、行政主導では宿泊税が一般財源化され、観光以外に流用される懸念がある。平林氏は「民間が主体かつ観光振興に使途を限定した制度が望ましい」との考えを示し、優良事例として、米国フロリダ州オーランド地域で、地元のホテル業界が中心となり宿泊税導入を促進した事例を紹介した。
加えて、宿泊税の課税方式についても言及。宿泊費に応じて課税する「定率制」をとることで、富裕層からの税収が見込めるほか、高額宿泊者の負担軽減や負担の公平性も図れると説明した。
財源確保の背景として、日本は一つの自治体が複数のDMO(広域連携DMOや地域連携DMOなど)に所属する複雑なDMO構造のため、財源の分配などに工夫が求められる。これを踏まえ、「地域に適したやり方で財源を確保していくことが重要」とアドバイス。宿泊税以外にも協力金や寄付として徴収し財源を確保する手法を提案した。