あけましておめでとうございます。
昨年は大谷翔平さんの活躍で日本に世界の注目が集まりましたが、それだけでなく身近に海外からの人材、お金も流入してきているように感じます。世界が分断されつつあり混迷の度を深めている中で、世界の目が日本に向いて来ている気配を感じるのです。世界は消去法により今まで見過ごしていた東アジアにおける日本の価値を再認識した感が有ります。コロナ明けの西欧・アジア地区からのインバウンドの爆発的増加がその流れを加速しています。すでに知られているようでも、実は未知の国であった日本の魅力は世界に拡散し観光ビジネスのチャンスを捉えるべく投資家、ホテルオペレーターが雪崩を打って日本市場に参入してきています。観光のみならず日本企業価値の見直しがあることは言うまでもありません。日本の不動産事業では海外からの人、金の流入によりオフィス、マンションに続き、富裕層対応のホテルを中心とするホスピタリティ施設も脚光を浴びてきています。人口爆発の危機を危惧されていた世界も、経済発展の進展に伴いフロンティアを失い、人口も減少に転ずると言われており、この傾向は先進国では日本を先頭にすでに始まっています。
そうした近未来、ある程度まで経済的に安定した社会では必要以上のものを求める刺激的世界は縮小し、美しく健全に生きるウェルビーイングな世界が求められるようになってきました。そうした流れの中で、日本文化に育まれた精神、身体の健康的生活に注目が集まってきているように思います。順調に伸びている世界のウェルネスビジネスも従来のコンセプトの枠を超えて飛躍するべく、日本の伝統的ウェルネスを研究し始めていて日本の五感+第六感について注目が集まる気配を感じます。すなわち(1)味覚(お茶、発酵食品)(2)視覚(四季の自然、一服の絵、一輪の花)(3)聴覚(風、水、虫の音)(4)臭覚(御香、檜(ひのき))(5)触覚(なぐり、なめし、さめはだ)(6)第六感(森林浴、坐禅、温浴、茶事)。
正月気分でそんなことをつらつら考えていると、日本のウェルネスが世界に穏やかさを取り戻すきっかけとなることも夢では無いように思えてきました。
日本観光施設協会会長 鈴木裕氏