ホテル・旅館専門の総合エンジニアリング会社のタップ(東京都江東区、吉田亮一社長)は昨年6月、宿泊・観光産業に特化した日本初の実証実験施設「タップホスピタリティラボ沖縄」を沖縄県うるま市に開設した。
実際に宿泊や食事ができるホテル機能も備えた同施設で、国内の大手メーカーらと共同で日々、各種の実証実験を実施。各社のテクノロジーを集結させ、タップのPMS(ホテルシステム)をプラットフォームとしてエンジニアリングし、有機的に接続することで、新しい観光DXサービスの開発、実現を目指している。
具体的には、モバイルチェックイン、ロボット搬送、客室家電コントロール、生体認証(顔認証や静脈認証等)などの開発、実装、実証、検証、改善を行っている。これら観光DXの導入は、施設運営の効率化、生産性向上に加えて、宿泊者の体験価値の向上にもつながる。
同社の吉田社長は観光DX推進の必要性、必然性について次のように話す。「国内人口が減少する中、宿泊業界では人材不足が大きな課題となっている。限られたリソースの中でオペレーションを最適化するには、サービスを『作業』と『ホスピタリティ』に分ける必要がある。DXにより作業効率を上げ、それによって生まれた時間は人的サービスであるホスピタリティに振り分けるべき。DXによる業務効率化は、労働環境の改善、ホテリエのモチベーション向上にも直結するはずだ」。
前職の全日空で自動チェックインの導入やロイヤリティプログラムの制度設計などで陣頭指揮を執ってきた吉田社長。THLの活用でタップをPMS会社から真の総合エンジニアリング会社へと着々と進化させている。
THLで実証実験中の各メーカーのロボット