日本列島で梅雨明けの発表が出始め、いよいよ夏本番である。日本各地に多くの人が足を運び、地域が、そして日本が元気になることを期待したい。大雨で観光どころではない地域もあるが、一刻も早い復旧を願うばかりだ。
JTBが先頃発表した今年の夏休み旅行動向(7月15日~8月31日)によると、1泊以上の旅行に出かける人は、国内、海外合わせて前年同期比0・8%増の7733万人だった。3連休が2回あることや、働き方改革で休暇が取りやすくなったことで、遠出への意欲が高いとみている。
国内旅行の人数は同0・7%増の7460万人。1人当たりの平均費用は2・1%増の3万4400円と予想。旅行先は格安航空会社(LCC)の参入で路線が拡充した北海道、新規エリアがオープンしたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がある近畿が人気という。
リクルートライフスタイルの夏の国内旅行動向よると、人気の旅行先は1位が北海道で、2位沖縄、3位東京、4位静岡、5位千葉だった。前年とそう変わらない。
最近では「旅行先をSNSで見つけたり、写真映えする旅行先を選んだりと、SNSの台頭によって旅の楽しみ方が変化している」という。
体験型観光への関心は強まり「この夏は体験の中でも、暑さが和らぐ夜に、日差しを気にせず楽しめるナイトアクティビティが人気になりそう」とか。夜に星空を見に行くハイキングやナイトバーベキューができるプランなどがそれに当たる。
気になるのは天気だ。気象庁予報では、今年の夏は全国的に気温が高く、特に8月は平年より気温が上がり、厳しい暑さになりそうという。あまりに暑いと、外出しようという気持ちにならないだけにやっかいだ。
追い打ちをかけるのが豪雨被害だ。特に、九州北部豪雨は大きな被害をもたらし、観光への影響が広がっている。
今回の豪雨では福岡・久留米と大分を結ぶJR久大線が寸断された。同線は福岡市から由布院温泉への最短ルートだが、当面は時間がかかる別ルートを選ばざるを得ない状況だ。
沿線の、大分県日田市も大きな被害が出ており、市観光協会の調べでは市内の宿泊キャンセルは全体で3千人を超えているとされる。夏の旅行シーズンを前に大きな痛手だ。しかし、夏の風物詩といわれる鵜飼や屋形船は通常通り実施される予定で、災害に負けず頑張ってもらいたい。
災害のたびにいわれる風評被害も出ていると聞く。あやふやな情報に惑わされないよう心がけたい。そして観光業界は正確な情報発信に努めてもらいたい。
【内井高弘】