「春の全国交通安全運動」が11日から20日まで行われる。痛ましい交通事故が相次いでいるだけに、この機会にドライバーは安全運転の重要性をいま一度確認してほしい。旅館・ホテルも無関心ではいられない。
警察庁によると、昨年1年間の交通事故死者数は前年比4.4%減の3532人で、過去最少となった。山本順三国家公安委員長は「国民一人一人が交通事故の防止に積極的に取り組んだ結果だが、悪質・危険な運転による重大な事故も後を絶たない。対策を着実に推進する」とのコメントを出した。
交通事故が減少傾向にあることは喜ばしいが、長官が指摘するように悪質・危険な運転が増えている。飲酒運転、あおり運転、スマートフォンを操作しながらのながら運転、さらには信号機のない横断歩道の手前で一時停止しない車も増えているという。
園児や小学生など子どもの列に車が突っ込み、被害者が出る事故が後を絶たない。先ごろ、滋賀県大津市で保育園児13人と保育士3人の列に軽乗用車が突っ込み、幼い命が奪われるという交通死亡事故が起きた。
東京・池袋で、暴走した乗用車に自転車で横断歩道を渡っていた母子がはねられて死亡する事故もあった。神戸市では路線バスが横断歩道に突っ込んで2人が亡くなる事故も。いずれもドライバーの運転ミスが原因とみられる。車は“走る凶器”になる得ることをドライバーは再認識すべきだ。
交通安全運動の重点項目は、(1)子どもと高齢者の安全な運行の確保と高齢運転者の交通事故防止(2)自転車の安全利用の推進(3)全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底(4)飲酒運転の根絶―の四つ。他人事とは思わず、改めて自分の運転について考える機会としたい。
旅館・ホテルも宿泊客の送迎で小型バスなど車両を使う機会も多いだけに、運転には細心の注意を払ってほしい。
経営者はドライバーに安全運転の徹底を促すとともに、ドライバーの体調管理にも気を配って然るべきだ。運転者の突然の意識喪失などで事故を起こす事例もあるだけに今すぐ行動を起こそう。
群馬県南牧村で10日、停車中のマイクロバスが登山道付近の斜面から転落する事故があった。バスのギアがニュートラルに入っていたともいわれ、事実であればドライバーの操作ミスである。もっと注意をしていればと思っても後の祭りだ。代償は大きい。
車の性能がずいぶんと良くなり、自動運転を模索する段階にあるが、やはり運転するのは人である。事故を起こした時を想像し、慎重な運転を心掛けてもらいたい。
悲惨な交通事故が相次いでいる。安全運転を心掛けよう(春の全国交通安全運動のポスター)