欧州で新型コロナウイルスが再び急速に広がっている。国によっては今年の春を上回る水準となっていて、新たな規制を導入する動きも出ているという。
10月中旬に開かれた東京都の「モニタリング会議」。専門家は、新たな感染の確認などが「高い水準のまま増加している」と指摘し、警戒が必要だと呼び掛けた。
コロナ禍に対する不安は依然として拭えず、重苦しいムードが漂っているが、そんな中、明るい話題となっているのが人気漫画「鬼滅の刃」の大ヒットだ。
10月16日公開のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」。18日までのわずか3日間で興行収入が46憶円を超えたという。全国約400の映画館で上映され、観客動員数は340万人を突破、公開3日間の興収、動員数は過去最高になったとか。
かつて「君の名は。」(16年公開)で大ヒットを飛ばした新海誠監督は、鬼滅の刃のヒットに「ひえー、日本の映画興行でこんなことがあり得るんですね。まさに快挙」と驚きのコメントを発表している。
映画やアニメの放映をきっかけに「聖地」などが生まれ、多くの人が足を運ぶ姿はこれまでもたびたびあった。「君の名は。」はその典型だろう。当時とコロナ禍の今とでは状況が異なり、移動や観光地訪問に一定の自制心が働いている。大挙して人が押し寄せることはないだろうが、地域活性にも一役買いそうだ。
鬼滅の刃の「聖地」として注目されているのが福岡県筑後市の「溝口竈門(かまど)神社」。市観光協会は訪れた人に無料で自転車を貸し出すキャンペーンを開始した。
11月末までの土・日・祝日、筑後船小屋観光案内所で販売している同神社の絵馬(600円)を購入した人には、レンタサイクル(レンタル料500円)を無料にする。
大分県別府市内の八幡竈門神社にも鬼滅ファンが来ている。登場人物を絵馬に描いて願いを込め、「竈門」の字が入ったお守りを記念や土産に買っているという。また、福岡県太宰府市にも竈門を冠した宝満宮竈門神社がある。
劇場版は列車が舞台ということもあって、運輸機関も指をくわえて見てはいない。JR九州や東日本がそれぞれ、独自のコラボ列車を走らせている。
JR九州が蒸気機関車「SL人吉」のナンバープレートを「無限」に変更した「SL鬼滅の刃」などは瞬く間に切符が売り切れるという。
ブームは一過性で、いずれは冷める。しかし、それで日本の観光が少しでも元気になればいい。ここは素直にブームに乗ってみるのも悪くはない。
「鬼滅の刃」の聖地として注目されている溝口竈門神社。観光スポットになるのだろうか