【観国之光 322】総額表示義務化 価格“見直す”動きも 本社論説委員 内井高弘


商品価格の総額表示が義務付けられる(写真と本文は関係ありません)

 商品やサービスの価格に消費税分を含める総額表示が4月1日から義務化される。3月31日に消費税転嫁対策特別措置法が失効するためだ。事業者からは値上げのような印象を持たれ、「売り上げに影響が出ないか」と心配する向きもある。

 総額表示義務の対象となるのは、(1)値札、商品陳列棚、店内表示、商品カタログなどへの価格表示(2)商品のパッケージなどへ印字、あるいは貼付した価格表示(3)新聞・雑誌、テレビ、インターネットホームページ、電子メールなどの媒体を利用した広告(4)メニュー、ポスター、看板―など。

 価格を総額表示しなくても消費税法違反で処罰されることはない。観光業者からは「コロナ禍で大変な時に正直面倒くさい」という声も聞こえてくるが、対応しておくに越したことはない。

 これまで、本体価格が千円、消費税100円の商品であれば、「千円+税」という価格表示だったのが、「1100円」という税込みでの価格表示にしなければならない。消費者にとっては、実際に支払う金額が分かりやすくなる。

 価格表示に方法はさまざまあり、例えば税込み価格が1万780円の場合、「1万780円(税抜価格9800円、税980円)」や「1万780円(税込)」「9800円(税込1万780円)」などと表示するのはOK。

 しかし、「9800円(税抜)」や「9800円(本体価格)」などはNGとなる。

 コロナ禍で売り上げが減少した飲食店などではテークアウトを始めるところもあるが、テークアウトと店内飲食では税率が異なり、価格表示に悩むところも出そうだ。方法としては、(1)両方の税込み価格を表示(2)どちらか片方だけの税込み価格を表示(3)二つとも同じ税込み価格で表示―という3パターンがあるとされる。

 義務化を機に、価格を見直す動きも出ている。税抜き価格を値下げして消費者の心理的負担を軽くしようとしたり、表示を変更するタイミングに合わせて税抜き価格を値上げするなどだ。

 例えば、ユニクロを展開するファーストリテイリング。これまで、税抜き価格1990円の商品は消費税10%分を加算した2189円で販売していたが、3月中旬からは税込み価格1990円で表示、販売し始めた。

 群馬県のある温泉地の旅館女将は「宿泊費の総額表示はもともとやっているので問題はない。税込みの方が分かりやすいので歓迎」という。

 税込みと税抜きの表示では、税抜きに割安感を持つ消費者が多く、「税込み表示は買い控えにつながるのでは」との見方もあるが、だんだんと慣れてくるだろう。


商品価格の総額表示が義務付けられる(写真と本文は関係ありません)

 
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