電動キックボードをご存じだろうか。前後2輪式で1枚のボードに両足を乗せ、立ち姿勢でハンドルを操作する乗り物だ。新たな移動手段として注目されており、導入に向け実証実験も行われている。
石垣島と同島周辺離島を結ぶ定期船を運航する安栄観光(沖縄県石垣市)は今年1月、いち早く電動キックボード「Rimo」のレンタルを開始した。周辺離島でのアクティビティを兼ねた移動手段として利用してもらうという。
原付自転車の免許が必要で、利用の際にはヘルメットを着用してもらう。料金は4時間2千円、6時間3千円など。3月には乗船券とキックボードをセットにしたプランも販売した。
モビリティ事業を手掛けるサンオータスと京浜急行電鉄は4月12日から、電動式キックボードのシェアサービスを開始した。観音崎京急ホテル(神奈川県横須賀市)に4台を配置。運転免許証を所持している18歳以上が利用でき、料金は貸しヘルメットと任意保険付きで30分500円。キックボードは約5時間のフル充電で約55キロ走行できるという。最高速度は時速19キロ。
このほか、神戸市では観光客らの移動手段に活用することを目指して昨年8月に実証実験が行われ、鹿児島県与論町でも今年3月、モニターツアーが実施されている。
電動モビリティー(移動・運送手段)と呼ばれる電動キックボードや「セグウェイ」などの車両は、公道での走行が制限されており、事業者からは「現行ルールでは利便性を発揮できない」と規制緩和を求める声が上がっていた。
警察庁は有識者検討会で議論し、4月15日に中間報告をまとめた。最高速度や車体の大きさによって3類型に分ける案を示し、例えば自転車並みの時速15キロ以下で走る電動キックボードは「小型低速車」で、車道や自転車レーンなどは走れるとした。年齢制限を設け、運転免許証は不要とする方針だ。
同庁は年度内にも出される最終報告書を受け、道路交通法を改正する意向。規制緩和されれば、普及に弾みが付きそうで、観光面での活用が期待される。
デメリットもある。その一つが充電問題で、バッテリー容量は決して大きくなく、長距離移動にはやや難がある。また、タイヤが小さいため段差や障害物に対して弱く、転倒の危険性も少なくないという。
小回りが利き、ちょっとした観光にも重宝されそうで、ツアーの目玉となるのでは。アフターコロナ、規制緩和後をにらみ、電動キックボードの導入も考えてみてはどうか。