今年は、1872(明治5)年10月14日に新橋―横浜間に鉄道が開通して150年を迎える。国鉄の分割・民営化から数えても35年の節目に当たる。
人口減による赤字路線の拡大や新型コロナウイルス禍による利用者減などで鉄道を取り巻く環境は厳しさを増しており、路線の縮小、廃止を検討する動きも出ている。
先ごろ、全国28の道府県知事が国に対し、「地方ローカル線の廃止や減便は住民の通勤・通学・通院などの日常生活や、経済活動を支える重要な役割への影響が強く危惧される」として、鉄道ネットワークの維持に向け取り組むよう緊急提言した。経営が悪化している場合は国の責任で適切な支援を講じることなどを盛り込んでいる。
鉄道は、観光振興の面で果たす役割は依然として大きく、鉄道インフラの存廃論は観光業界にとっても無関心ではいられない。
鉄道はいまや単なる移動手段ではない。鉄道そのものが観光資源となっており、趣向を凝らした観光列車の登場は新たな需要を開拓した。
全ての観光列車が採算に乗るわけではなく、体力勝負という面も否定できない。沿線の自治体や観光業界の支援も欠かせず、ともに運行するという姿勢が必要だ。
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