【観国之光 482】津波防災の日 避難行動の再確認を 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


津波被害にあった宮城県南三陸町の防災対策庁舎(13年3月撮影)

 東京電力は7日、福島第1原子力発電所2号機のデブリ(溶融燃料)取り出しに成功したと発表した。大きさ5ミリ、重さ0・7グラムほどだが、廃炉の実現に向けた重要なステップになるといわれる。

 2011年3月の事故から13年たってようやくこの成果だ。1号機から3号機の格納容器にはあわせて約880トンのデブリがあると推定されており、成功したとはいえ、取り出しにあと何年、何十年かかるのか。廃炉完了の道筋は見通せないのが実情だ。

 原発自体が強固で安全性がもっと高かったら、何より大津波さえ来なかったら、と今さらながら思う。東北観光にも大きな陰を落とし、震災前に戻ったとはいまだいえない状況にある。

 すでに過ぎてしまったが、11月5日は「津波防災の日」である(15年には「世界津波の日」にもなった)。東日本大震災を教訓とした法律によって制定された。

 昔のこよみでこの日、安政南海地震(1854年)が起きた。和歌山県で浜口梧陵という人が、稲に火をつけて村人を夜に高台へ避難させ、津波から救った「稲むらの火」の話が有名だ。

 津波防災の日は、津波から命を守るための行動を再確認する日だ。

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