
初任給を引き上げる企業が増えている。それだけでなく、すでに働いている社員の給与を引き上げる企業も出てきているようだ。人手確保に躍起な背景の裏には、優秀な人材獲得のほか、少子化に伴う慢性的な人手不足対応、若者の離職に歯止めをかけようという狙いがある。
明治安田生命は2025年入社の新卒者に対し、現在の24万円から27万円に、三井住友銀行は26年入社から30万円とする。大卒の初任給が30万円台となるのは大手行では初めてとされる。さらに、東京海上日動にいたっては26年入社から最大で41万円の初任給になるという。
同じような仕事内容であれば、給料が少ない企業よりも高い企業を選ぶのはいつの時代でも同じだろう。モチベーションアップにつながるし、頑張ろうという気にもなる。しかし、意欲があっても能力が企業の目にかなうのか、また、給料に見合うだけの仕事ができるのかどうかは別問題。若手もなかなかハードルは高い。
若手社員の給料が上がるのはいいが、長く在籍する社員(上司)を上回っては穏やかではない。先輩社員の士気が低下しかねず、払拭するには全体の給料を底上げする必要もでてくる。資金に余力がある企業はいいが、そうでない企業にとっては死活問題だ。大手、中小の差が広がることが懸念されるが、中小企業に対する公的支援の拡充も検討されていいのではないか。
会員向け記事です。