【解説】改正旅行業法が施行 


手配業 東京72社、大阪56社登録

 改正旅行業法が1月4日に施行された。旅行の安全や公正な取引など業務を適正化するため、旅行サービス手配業(ランドオペレーター)に登録制度を創設。さらに着地型旅行の促進に向けて、地域限定旅行業務取扱管理者を新設したほか、地域限定旅行業者に管理者の複数営業所の兼務を一定の条件の下で認める。

旅行サービス手配業者

 旅行サービス手配業者は、報酬を得て、旅行業者(外国旅行業者を含む)の依頼を受けて、旅行者に対する運送等サービスまたは運送等関連サービスの提供について、これらのサービスを提供する者との間で、代理契約・媒介・取次を行う者。貸し切りバス、旅館・ホテルなど、訪日旅行、国内旅行に関わる手配行為が規制の対象となる。海外旅行の手配行為は規制の対象外となる。

 旅行サービス手配業には、業務に関する事業者間の契約書面の交付を義務付けたほか、禁止行為として、貸し切りバスの下限割れ運賃での手配、違法な営業を行う土産物店への連れ回し行為などが規定されている。

 旅行サービス手配業者は、営業所の所在地の都道府県知事の登録を受ける必要がある。観光庁の事前調査では、登録が必要とみられる事業者は全国で583社(旅行業登録済みで新たな登録の必要がない事業者を除く)。これまでに東京都では72社(1月31日現在)、大阪府では56社(2月8日現在)が登録している。

 旅行サービス手配業者は、営業所ごとに1人以上の「旅行サービス手配業務取扱管理者」を選任する。制度改正に伴う措置で1月4日から6カ月間は選任が猶予されているが、管理者は、観光庁に登録した機関が実施する研修の修了が必要。もとより総合旅行業務取扱管理者または国内旅行業務取扱管理者がいれば、別途管理者を選任する必要はない。

 旅行サービス手配業務取扱管理者の研修内容は、1月4日の告示で、旅行業法・旅行業約款に関する科目(5時間以上)、安全対策や事故対応を含む旅行サービス手配業務に関する科目(6時間以上)と定めた。管理者には5年ごとの定期研修も義務付けられた。

旅行業者

 着地型旅行の振興では、規制を一部緩和し、地域限定旅行業者に登録しやすくした。DMOといった地域観光振興組織、旅館・ホテルなどの参入も促し、地域での体験交流型の旅行商品の流通を活性化させる。

 旅行業務取扱管理者に「総合」「国内」に加え、地域限定旅行業者向けに「地域限定旅行業務取扱管理者」を創設。1月4日の告示で、試験科目は地域限定の業務実態に合わせ、総合、国内で問われる航空運送の運送約款や利用料金に関する知識、日本全国の地理に関する知識などが除外された。

 旅行業者は営業所ごとに1人以上の管理者の選任が必要だが、参入障壁の一つだったことから、地域限定旅行業に限って、管理者の複数営業所の兼務が認められた。兼務できるのは、営業所間の距離が40キロ以下、兼務する複数営業所の年間取引額の合計が1億円以下の場合と規定された。

 地域限定旅行業の業務範囲と、第3種旅行業の募集型企画旅行の区域は、営業所が所在する市町村とその隣接市町村に限られているが、地域の旅行実態に合わせて一部規制を緩和する。区域の近隣に空港、拠点駅がある場合などは、営業区域に含めるように告示が出される予定。

 また、旅行業者、旅行業者代理業者の旅行業務取扱管理者の研修受講は、これまで努力義務だったが、5年ごとの定期的な研修が義務付けられた。


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