GRITは11月30日、「ホテル管理システム(PMS)の利用実態」に関する調査の結果を発表した。
観光業界に大打撃を与えたコロナ禍が終わりを迎え、再び業界に活気が戻ってきているようです。
しばらく旅行を楽しめなかった分、より一層楽しみたいと考えている利用客も多いことでしょう。
近年、ホテルなどの宿泊施設では、PMS(Property Management System)と呼ばれるホテル管理システムが導入されるケースが多くなりました。
インターネット社会となった現代、利用客はインターネット上で宿泊予約や支払いができますが、これは施設がPMSを導入することでよりスマートに効率化できます。
他にも、日々の会計処理や館内の整備に役立つ機能など、PMSを導入すると様々な業務をシステムで一括して管理することが可能です。
そんなPMSですが、実際の現場ではどのように活用されているのでしょうか。
また、実際の活用状況や、現場での課題についても気になります。
そこで今回、業務を効率化する宿泊システム『every+1(エブリワン)』(https://www.every-1.app)を運営するGRIT株式会社は、中小規模の宿泊施設に勤務する方(経営者・従業員)を対象に「ホテル管理システム(PMS)の利用実態」に関する調査を実施しました。
<調査概要>
調査概要:「ホテル管理システム(PMS)の利用実態」に関する実態調査
【調査期間】2023年11月7日(火)~2023年11月13日(月)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】1,029人
【調査対象】調査回答時に中小規模の宿泊施設に勤務する方であると回答したモニター
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
- 中小規模の宿泊施設の約65%がPMSを利用している
はじめに、勤務先の施設でホテル管理システム(PMS)を利用しているか伺いました。
「勤務先の施設では、ホテル管理システム(PMS)を利用していますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
利用している(65.3%)
過去に利用していたが、現在はしていない(24.1%)
利用したことはない(10.6%)
ホテル管理システムは中小規模の施設にも導入が進んでいることがわかりました。
- PMSでよく使われている機能とは?約6割は満足に活用できていない
では、具体的にはホテル管理システムのどのような機能を使用しているのでしょうか。
「具体的にどのような機能を使用していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『ブッキングエンジンやサイトコントローラーへの連携(47.8%)』と回答した方が最も多く、次いで『POSシステム(45.8%)』『売上管理(42.9%)』『予約管理(32.7%)』『売掛管理(27.5%)』『購買管理(27.4%)』と続きました。
良く活用している機能についてもう少し具体的に伺ってみましょう。
■PMSでよく活用している機能や使用方法とは?
・予約管理を中心としている(40代/男性/神奈川県)
・経理システム(40代/女性/徳島県)
・空き部屋と埋まっている部屋を管理し、効率的に回るように活用している(40代/男性/広島県)
・複数のブッキングサービス(60代/男性/東京都)
客室の予約管理にホテル管理システムを使用している施設が多いようです。
また、チェックインとチェックアウトの管理に使用しているという回答もありました。
他にも、経理や売上管理などさまざまな機能が活用されていることもわかりました。
そこで「PMSの機能はどの程度活用できていますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
かなり活用できている(39.1%)
ある程度は活用できている(53.1%)
あまり活用できていない(7.6%)
ほとんど活用しきれていない(0.2%)
PMSを利用することで業務の効率化が図られている施設が多いものの、「かなり活用できている」を除いた約6割は満足に活用できていないことがわかりました。
- 利用コストはどのくらい?PMSの課題点も明らかに
続いて、PMSの利用費について伺いました。
「PMSの利用費はいくらほどかかっていますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
1万円未満(7.6%)
1~3万円未満(26.6%)
3~5万円未満(39.4%)
5~10万円未満(19.4%)
10万円以上(7.0%)
約7割の方が、5万円未満でPMSを利用していると回答しました。
次に、PMSの利用にあたってどのような課題があるかを伺いました。
「PMSの利用にあたって、どのような課題を感じていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『従業員への周知の徹底が必須(41.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『PCやタブレットの操作が必須(37.7%)』『初期費用や利用料金が高い(30.5%)』『サーバーを配置するためのスペースが必要(21.3%)』『操作が難しい(21.1%)』『主要サイトからの予約率が下がった(11.6%)』と続きました。
約4割の方が、従業員への周知徹底が難しいと回答しています。
業務効率化のためにPMSを導入しても、従業員が活用できるようになるための教育や研修に労力が必要だと感じている方が多いことがうかがえます。
PMS導入の課題について、もう少し詳しく伺ってみましょう。
■PMSを活用するにあたって感じている課題とは?
・入力が難しい(30代/男性/大阪府)
・その都度従業員への使用指示を教育しないといけない(40代/男性/大阪府)
・仕組みを理解してシステム的な操作を行わないと、逆に効率が悪い。勉強は必須(40代/男性/広島県)
・新入社員への導入指導に難しさがある(50代/男性/京都府)
やはり、PMS活用には教育が欠かせないことがわかります。システムの仕様が煩雑である場合、特に使いにくさを感じる方も多いかもしれません。
また、費用の高さを課題に挙げる方もいました。
- PMSを導入していない理由とは?どのようなPMSがあれば利用したい?
次に、PMSを利用していないと回答した方に、導入していない理由を伺いました。
「PMSを利用していない理由は何ですか?(複数選択可)」と質問したところ、『導入が大変そう(50.1%)』と回答した方が最も多く、次いで『導入後の管理が大変そう(32.8%)』『利用費が高いイメージ(24.7%)』と続きました。
導入には初期費用がかかり、一からシステムについて勉強する必要があります。
そのためのコストを考えると、PMSの導入に二の足を踏む方は多いかもしれません。
では、今後はPMSを利用したいと思っているのでしょうか。
「今後PMSを利用してみたいと思いますか?」と質問したところ、以下のような回答結果になりました。
とてもそう思う(5.8%)
ある程度はそう思う(64.1%)
あまりそう思わない(24.6%)
まったくそう思わない(5.5%)
およそ7割の方が、今後はPMSを利用してみたいと思っていることが明らかになりました。
PMS導入に興味を持っている方は多いようです。
そこで、どのようなことをPMSに期待しているか伺いました。
「PMSにどのようなことを期待したいですか?(複数回答可)」と質問したところ、『使いやすさ(42.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『導入のしやすさ(41.5%)』『レジ業務の簡略化(27.5%)』『効率化による業務負担軽減(25.2%)』『施設内の管理業務の簡略化(17.8%)』『会計事務の簡略化(17.1%)』と続きました。
使いやすさが第1位、導入しやすさが第2位という結果になりました。
従業員が使いやすく導入しやすいホテル管理システムがあれば、今後PMSの使用を検討する方は多いかもしれません。
- まとめ:使いやすく導入しやすいPMSが求められていることが明らかに
今回の調査で、中小規模の宿泊施設の約65%がPMSを利用していることが明らかになりました。
実際に、客室の予約管理や経理、売上管理などさまざまな機能が使用されているようですが、「かなり活用できている」を除いた約6割は満足に活用できていないことがわかりました。
理由としては、従業員への周知徹底や教育など、従業員全員へのPMS利用の浸透に課題があることがうかがえました。
また、PMSを使用していない施設の多くは、導入や管理が難しそうであることを理由に導入していないことがわかりました。
ホテル管理システムの導入は業務の効率化につながるものの、導入のハードルが高いことや導入後の教育に課題があることがわかりました。
従業員が使いやすく導入しやすいホテル管理システムが求められていると言えるでしょう。