カミナシは9月29日、「新卒で入社した企業におけるDX推進実態と就職・転職の動向」に関する調査の結果を発表した。
10月に、翌年4月に新卒入社予定の学生の内定式を実施するという企業は多いのではないでしょうか。日本は若年層の減少に加え、内定者の40%以上が内定を辞退する・3人に1人が新卒で入社した企業を3年以内に離職するといった状況(※)にあり、多くの企業において新卒採用・定着の難易度が高まっています。それゆえ、各企業は優秀な人材の獲得・定着のためにさまざまな施策に取り組む必要に迫られています。
本調査では「デジタル化・DX」に焦点を当て、デジタルネイティブであるZ世代の若手社員を対象に、彼らが新卒で入社した勤務先のデジタル化・DX推進状況とその状況が就職・定着・転職に与えた影響や、工場や店舗、医療などの現場で働く「ノンデスクワーカー」と「デスクワーカー」の間のその影響の差等、企業のデジタル化・DX推進実態とZ世代の若手社員の就職・定着・転職への影響や関係性を明らかにしました。
その結果、企業がデジタル化・DXを推進していないアナログな職場環境だと約9割のZ世代は就職・転職時の入社意向が下がることが明らかになりました。さらに、Z世代の5割以上が「新卒として入社した勤務先でデジタル化・DXが進んでいない」と感じており、また、若手ノンデスクワーカーの退職・転職経験者の約6割の勤務先でデジタル化・DXが進んでいなかったことも明らかになるなど、デジタル化・DXを推進しないことがZ世代の就職や転職にネガティブな影響を与えていることが分かりました。
【調査トピックス】
- 約9割のZ世代は、企業がデジタル化・DXを推進していないと入社意向が下がる
- Z世代の5割以上が「新卒で入社した勤務先ではデジタル化・DXが進んでいないと感じた」と回答
- 新卒で入社した勤務先を退職・転職済みの若手ノンデスクワーカーの約6割が、その勤務先では「デジタル化・DXが進んでいないと感じた」と回答
- Z世代がデジタル化・DXしたい業務No.1は「報告書や業務日報」などの日常業務
- 若手ノンデスクワーカーの満足度が高い職場で取り組まれているデジタル化・DXの取り組みの1位は「勤怠管理」。次いで「日常業務」「情報共有やコミュニケーションツール」と、毎日必ず行う業務が上位に
※「人的資本経営・開示の現状2023」に関する調査(2023年6月、ProFuture株式会社/HR総研)
「新規学卒就職者の離職状況」(2022年10月、厚生労働省)
- 調査結果詳細
トピック1:約9割のZ世代は、企業がデジタル化・DXを推進していないと入社意向が下がる
自分が入社を希望する企業がアナログな業務が多い職場環境だとわかった場合の入社意向度への影響について質問したところ、「入社意向度は少し下がる」(43.5%)が最も多く、次いで「入社意向度はかなり下がる」(33.3%)、「入社意向度はまったく変わらない」(12.0%)、「入社意向度は著しく下がる」(11.3%)となり、88.1%の回答者が「デジタル化・DXに取り組んでいない企業に対する就職や転職時の入社意向は下がる」ということが明らかになりました。
トピック2:Z世代の5割以上が「新卒で入社した勤務先ではデジタル化・DXが進んでいないと感じた」と回答
新卒で入社した勤務先でのデジタル化・DXの推進実態については「あまり進んでいないと感じた」(38.8%)が最も多く、次いで「やや進んでいると感じた」(26.3%)、「まったく進んでいないと感じた」(17.0%)となり、55.8%の回答者が「新卒で入社した勤務先ではデジタル化・DXが進んでいない」と感じていることが明らかになりました。
トピック3:新卒で入社した勤務先を退職・転職済みの若手ノンデスクワーカーの約6割が、その勤務先では「デジタル化・DXが進んでいないと感じた」と回答
新卒入社した勤務先をすでに退職・転職しているノンデスクワーカーの「新卒で入社した勤務先でのデジタル化・DXの推進実態」についての回答を抽出したところ、「あまり進んでいないと感じた」(32.1%)が最も多く、次いで「まったく進んでいないと感じた」(30.2%)となり、62.3%のノンデスクワーカーが「新卒で入社した勤務先ではデジタル化・DXが進んでいない」と感じていることが明らかになりました。
トピック4:Z世代がデジタル化・DXしたい業務No.1は「報告書や業務日報」などの日常業務
「新卒入社した勤務先でデジタル化やDXが進んでいない」と回答し「その勤務先でデジタル化やDXを推進するプロジェクトができた場合、自分も参加したいと思いますか」という質問に「参加したい」と回答した人を抽出し、どのような業務をデジタル化・DXしたいか質問したところ、「日常業務(報告書や業務日報など)」(72.4%)が最も多く、次いで「勤怠管理(タイムカードやシフト、休暇申請)」(53.0%)、「情報共有やコミュニケーションツール(チャットツールやグループウェアなど)」(48.5%)となりました。毎日必ず行うにも関わらず、紙を使うことが日常化している業務を改善したい思いがあることが伺えます。
トピック5:若手ノンデスクワーカーの満足度が高い職場で取り組まれているデジタル化・DXの取り組みの1位は「勤怠管理」。次いで「日常業務」「情報共有やコミュニケーションツール」と、毎日必ず行う業務が上位に
ノンデスクワーカーとデスクワーカーそれぞれにおいて、新卒入社した勤務先の満足度が高く、かつデジタル化やDXが進んでいると回答した人を抽出し、勤務先でデジタル化やDXが進んでいると思った業務を分析することで、どのような業務のデジタル化やDXに取り組むと満足度が高くなる傾向があるのかを分析しました。
その結果、ノンデスクワーカーにおいては、1位「勤怠管理(タイムカードやシフト、休暇申請)」(62.1%)、2位「日常業務(報告書や業務日報など)」(51.7%)、3位「情報共有やコミュニケーションツール(チャットツールやグループウェアなど)」(39.7%)、デスクワーカーにおいては、1位「情報共有やコミュニケーションツール(チャットツールやグループウェアなど)」(75.0%)、2位「勤怠管理」(70.0%)、3位「日常業務(報告書や業務日報など)」(56.7%)という結果となりました。
ノンデスクワーカーとデスクワーカー、ともに上位にランクインした取り組みは同じではあるものの順位は異なる結果となり、若手社員の満足度を上げるためにそれぞれの企業・勤務先が実施すべきことのヒントとできそうです。
※「デジタル化・DX」は「業務にIT技術を活用すること。また、IT技術で業務内容が変わること。」、「アナログな職場環境」は「デジタルツールを活用せず、紙書類が多く非効率と感じる環境のこと。」と定義した上で調査を実施。
- 調査概要
調査時期:2023年8月23日〜25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:2020〜2023年に新卒入社(社会人1年目)で勤務した職場で、ノンデスクワーカーを経験した(勤務時間の半分以上をデスクに座ることなく現場で業務に従事していた)200人およびデスクワーカーを経験した(勤務時間の半分以上をデスクに座って業務に従事していた)200人(男性106名、女性294名)
サンプル数:n=400