課題は「人手不足や人材不足」
日本旅行業協会(JATA)は、旅行会社や輸送事業者、宿泊事業者などを対象として8月に実施した「インバウンド旅行客受入拡大に向けた意識調査」の結果を10月11日に発表した=既報。回答者数は1094件(輸送事業者321件、旅行会社308件、宿泊事業者138件、自治体125件、観光協会60件、DMO46件)。調査結果の一部を紹介する。
インバウンド観光客数の戻り具合を2019年と比較して聞いた。最も多い回答が「50%未満」26%。2番目が「50~89%」23%。「90~109%」(19年とほぼ同等)と、19年水準を超えた「110%以上」の回答は共に7%に過ぎなかった。
インバウンド観光客の多い時期は、「秋季(紅葉のシーズン)」と「春季(桜のシーズン、イースター)」だった。回答率は共に36%。
自由記述回答を見ると、「年末年始」や「クリスマス」などの長期休暇の時期が注目されている。「中国国慶節(10月1日から)」も中国人観光客が多いという回答があった。また、特定の時期ではなく、国際イベントや、祭り、クルーズ船の入港などと連動して、インバウンド観光客数が変動するという回答もあった。
国内旅行を含む観光全体を見ると、19年とほぼ同等という回答は15%に過ぎない。インバウンド観光と比べておおむね回復傾向が強く、これは国内旅行がインバウンド観光よりも早く回復していることを示唆している。
業種別では宿泊事業者が全体を上回る水準で回復が進んでいる。
インバウンド重点市場については(1)コロナ禍以前、インバウンド観光客受け入れにおける重点市場(国、地域)はあったか(2)現在(おおむね23年4~6月)、インバウンド観光客の受け入れが多いのはどの国、地域か(3)今後、新規(追加)でインバウンド観光客の受け入れ強化を予定している国、地域はあるか、の三つの質問を設定。その結果、コロナ禍以前は、台湾を中心に東アジアの重要度が高かったが、将来的には東南アジアや欧米も東アジアと同程度の回答があり、受け入れ市場の拡大、分散化の動きが見られる。
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