JTBは8月27日、ビジネスイベント意識調査の結果を発表した。
●開催手法は「オフライン」志向が強まり、コロナ禍前を上回る
●SDGs対応が進行。省エネルギー、利用資材や提供物における対応が最多
●人的資本経営への対策として、コミュニケーションを重視したイベントの選択意向あり
株式会社JTBは、企業が実施する主に従業員を対象とする『社内ステークホルダー向けイベント』(以下、社内向けイベント)および主に消費者・取引先・地域・出資者などを対象とする『社外ステークホルダー向けイベント』(以下、社外向けイベント)に関する「ビジネスイベント意識調査(2024年7月実施)」の結果を発表しました。
本調査は2020年以降、企業側の開催意向や参加者意向の変化を掴むために複数回にわたり実施しているインターネット調査の最新結果を基に、現在及びこれからのイベント開催手法やニーズの変化を考察しています。
*詳細なレポートにつきましては、以下 法人WEBサイトからダウンロードいただけます。
ビジネスイベントの現在とこれから(2024年7月)~【別冊】社内ステークホルダー向けイベント版~
ビジネスイベントの現在とこれから(2024年7月)~【別冊】社外ステークホルダー向けイベント版~
●新型コロナウイルス感染症流行により開催が激減したオフライン(リアル)開催のビジネスイベントは、2020年以降調査を経るごとに増加傾向にあり、今回の調査ではいずれのイベント種別でも最も高く、コロナ禍前と比較しても高い傾向である(図表①)。
●24年度のイベント開催頻度は8割以上がコロナ前と比較しても増えた、または同等となっており、いずれのイベント種別においても3割以上が「頻度が増えた」と回答。予算については、社外向けと社内向けイベントとも、施策費用予算の20%~39%を占めると回答した層がボリュームゾーンとなった一方、予算の20%未満とする割合が上昇(図表②③)。費用対効果への意識の高まりもみられる。
●何らかのSDGs対応を実践・検討している割合が7割を超え、増加傾向がみられる。検討事項としては、節電や節水などの方針や計画の策定が最多(図表④⑤)。
●参加目的としては「価値観の共有」が最多となり、より深いコミュニケーションが重視されている。また、直接的な体験の価値が求められているものと推察(図表⑥)。
一方で、イベント不参加事由の上位は「参加メリットが分からない」「内容が魅力的でない」「業務が阻害される」が選択されており、特に業務時間を阻害される点が前回調査から大きく増加。人手不足等で業務量が増加しているなかで、参加メリットの見極めが進むとされる(図表⑦)。
●人的資本経営への関心が高まり、その課題として、組織文化の変革に加えて、管理者層の育成が強く意識され、解決策としてのコミュニケーション活性が重視されている(図表⑧⑨⑩)。
≪調査結果(抜粋)≫
【開催手法】現在は「オフライン」開催意向が強まっているが、将来的にはイベント種別にあわせてオンラインの良さも取り入れた「ハイブリッド」開催も検討されている
2020年度以前、ビジネスイベント全体ではオフライン開催が57.6%であったのに対して、2024年度は「オフライン」開催が8.3%高くなっており、コロナ禍以前を上回りました。将来については、社外向けイベントのオフライン開催がコロナ以前の水準に戻り、社内向けイベントではコロナ以前に回帰することなく、現状通りハイブリッド開催が多く検討され、オンラインの良さが定着する傾向がみられます(図表①)。
(図表①)担当した/担当する予定の会議・イベントの開催手法(複数回答可)
【開催頻度と予算傾向】頻度は引き続き増加傾向。
24年度のイベント開催頻度について、増加したとする割合が全体として昨年調査から5%ほど増加し、開催頻度が増えたとする比率は全体平均で35%を超えます(図表②)。
(図表②)担当した/担当する予定の、会議・イベントの開催頻度(コロナ前との比較)
昨年調査と同様に社外向け/社内向けともに、それぞれマーケティング予算/社内教育予算の20~39%を占めると回答している層がボリュームゾーンとなっていますが、昨年調査と比較すると、該当予算の20%未満の回答率が大きく上昇しています(図表③)。費用対効果への意識の高まりがみられます。
(図表③)担当した/担当する予定の予算が、同様の目的のための活動・施策費用予算のうちで占める割合
【SDGs対応】 SDGs対応における課題に関して、「SDGs効果の可視化」が最多
イベントを主催するにあたってSDGs対応を検討している割合は7割以上を占めました。特に「実践している」を選択した方が前回調査と比較して5ポイント以上増加、実際の取組みが進んでいるといえます(図表④)。
検討事項として、節電や節水などの方針や計画の策定が最も選択されているという点においては、変化は見られませんでした(図表⑤)。
(図表④)ビジネスイベントのSDGs対応検討有無
(図表⑤)ビジネスイベントにおけるSDGs対応の検討事項(複数回答可)
【イベント参加意向】 参加目的は「価値観の共有」。双方向の関係性・コミュニケーションの重要性が増す
参加目的としては「価値観の共有」が最多であり、「通常では得られないコミュニケーション」「他の手段よりも知らない情報に触れることができる」と続く。価値観の共有やコミュニケーションが重視されていることから、直接的な体験の価値が求められているものと推察できます(図表⑥)。
(図表⑥)イベントに参加する際に重視する目的(複数回答可)
一方で、社内向け/社外向け双方の不参加事由の上位は「参加メリットが分からない」「内容が魅力的でない」「業務が阻害される」が選択されており、特に「業務時間を阻害される」点が前回調査から大きく増加しました。人手不足等で業務量が増加しているなかで、時間を割いてまでビジネスイベントに参加するメリットがないと、業務を優先してしまう傾向が垣間見られます(図表⑦)。
(図表⑦)イベントに参加を求められた場合、参加を見合わせたくなる主な事由(複数回答可)
【人的資本経営への関心度】 人的資本経営への関心層が増加して7割に近づく、コミュニケーション活性化による課題解決を重視
回答者の7割近くが「人的資本経営」に関心を持っており、昨年度調査より増加しています(図表⑧)。人的資本経営の課題としては「マネジメント・管理職が育っていない」「組織文化の変革が難しい」と続いており、昨年同様、組織文化の変革は課題として強く認識されているものの、今回は新たに管理者層の育成が強く課題として意識されました(図表⑨)。課題解決策としてコミュニケーション活性化が重視されています(図表⑩)。
(図表⑧)人的資本経営についての関心度
(図表⑨)人的資本経営上の課題(複数選択可)
(図表⑩)人的資本経営上の課題を解決するための取り組み(複数選択可)
≪調査概要≫
【調査内容】ビジネスイベントに関するアンケート調査
【調査対象】20歳〜69歳までの日本に在住する方 かつ 以下の条件に該当する方
・現在就業している正規雇用の社員
・該当のビジネスイベントに関与したことがある担当者
・企業規模が従業員数500名以上、もしくは売上100億円以上の企業
【サンプル数】社外向けイベント・・・200サンプル / 社内向けイベント・・・200サンプル
【調査期間】2024年7月
【調査方法】インターネット調査
※調査結果の数字は四捨五入のため、小計と合わない箇所があります。
今回の調査を通じて、イベントにおけるオフライン(リアル)開催意向の継続は見受けられたものの、イベント設計・企画に対しては専門的なノウハウを求める主催者ニーズが把握でき、参加者を満足させる取り組みの難しさがみえてきました。JTBでは、これからのビジネスイベントにおいて欠かせない参加者ニーズの追求により、持続可能なビジネス展開に貢献します。