ネオマーケティングは3月25日、「ホテル・旅館に関する調査」の結果を発表した。
<調査背景>
新型コロナウイルス感染症の流行により大きな打撃を受けた観光・ホテル業界。
2023年の「新型コロナウイルスの『5類』引き下げ」を境に、人々の動きも活発化し、その状況はコロナ以前に戻りつつあるように見受けられます。
そんな中、今回は「ホテル・旅館」をめぐる生活者実態にクローズアップ。ホテル・旅館の利用実態やリピート経験、想起ブランド、利用時のモチベーションなどを詳しく探りました。
是非、今後のマーケティング活動の一資料としてご活用ください。
【調査概要】
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳以上69歳以下の男女、3年以内に宿泊目的でホテル・旅館を利用した方
有効回答数:1,000名
調査実施日:2023年12月11日(月)~2023年12月12日(火)
「ホテル・旅館に関する調査」主な質問と回答
- 利用したい(してみたい)「高級ホテル・高級旅館」は:「星野リゾート」が20.4%で1位、「帝国ホテル」が11.1%で2位に。
「高級ホテル・高級旅館」として利用したい(してみたい)と思う施設・ブランド名を、純粋想起(選択肢や写真などのヒントを与えず、純粋に思いついたブランドを回答してもらう方法)の自由記述で聴取。結果は、外資系ホテルを日本のホテルが抑え込む形に。
- 同じシティホテル・リゾートホテル・旅館を再度利用した経験は:70%近くがリピート経験あり。リピート客の獲得は、女性の方がより難易度が高い。
男女ともに、年代が上がるにつれリピート経験率が概ね増えていく傾向が見られた。
女性より男性の方がよりリピート経験率は高く、その差は30代で最大に。19.6ポイントもの差がついた。
まず、スクリーニングで直近3年以内に利用した宿泊施設があるか、お聞きしました。
◆直近3年以内に利用した宿泊施設(n=5,090)
全体を見ると、「旅館」が30%を超え、そこに「シティホテル」「リゾートホテル」「ビジネスホテル」が続く形となりました。
個人で経営されている「民宿」や、「カプセルホテル」「ゲストハウス」などの簡易宿泊施設は、通常のホテルや旅館よりも価格が抑えられるとはいえ、やはりまだメジャーとは言えないようです。
男女で結果を比較すると、男性の方が、そうした簡易宿泊施設の利用にやや積極的な傾向がみられます。しかし、それでも利用率20%を超える層はおらず、TOP4とは大きく差がついている状況です。
次に、スクリーニングで前掲した設問【直近3年以内に利用した宿泊施設】にて回答した施設の、利用目的をお聞きしました。
◆直近3年以内に利用した宿泊施設の、利用目的(n=1,961)
旅行目的での宿泊以外にも、「レストラン、喫茶、バー等」を目的とする割合が16.1%、「宿泊(ビジネス・出張)」目的が14.7%で続いています。
2022年「ユーキャン 新語・流行語大賞」に「ヌン活(ホテルなどでアフタヌーンティーを気軽に楽しむ活動)」がノミネートされたこともあり、主に高級ホテルにおいて、レストランのみを利用することは珍しくなくなりました。
しかし「宿泊施設」全体で見ると、“飲食のために”訪れる割合はまだ多いとはいえず、伸びしろがあるようです。
「宿泊」目的以外の利用率を男女で比較すると、やや男性の方が高くなっており、とりわけ20代の男性は「入浴・プール等」が19.4%、「飲食以外のショップ(物販・エステ等)」が20.4%と、目的がより分散されています。
次に、「高級ホテル・高級旅館」として利用したい(してみたい)と思う施設・ブランド名を、自由記述にてお聞きしました。
※回答は思いつく順に最大10個まで回答。なお一つも思いつかない場合は「思いつかない」と回答。
◆【ランキング】利用したいと思うホテルのブランド想起(自由記述)
上記は、自由記述にて得た回答を、アフターコーディングで集計・ランキング化したものです。
結果は、長野県軽井沢に拠点を置く旅館・ホテルブランド「星野リゾート」が、20.4%でトップに。そこに、日本のホテル“御三家”の1つに数えられる「帝国ホテル」が11.1%、世界各国で500以上のホテル・リゾートを展開する「ヒルトン」が9.7%で続いています。
今回、純粋想起(選択肢や写真などのヒントを与えず、純粋に思いついたブランドを回答してもらう方法)の自由記述でお答えいただきましたが、数ある外資系ホテルを、日本のホテルが抑え込む形となりました。
前掲した設問【利用したいと思うホテルのブランド想起】で“1番目”に記入した「高級ホテル・高級旅館」について、その理由を再び自由記述にてお聞きしました。
◆【ランキング】利用したい(してみたい)と思う理由(自由記述)
上記は、自由記述にて得た回答を、アフターコーディングで集計・ランキング化したものです。
「有名だから」という、ブランドの知名度の高さが1位となり、そこに0.2ポイント差で「高級感があるから」が2位にランクインしています。
今回、価格帯や国内・国外など、特に条件を設けることなく「『高級ホテル・高級旅館』として利用したい(してみたい)と思う施設・ブランド名」を、自由に記載するアンケートをおこないました。
しかし結果を確認すると「一度は行ってみたい・宿泊したいから」という理由を抑え、「宿泊して良かったから」という、自身の経験に基づく“現実的な理由”が3位に位置し、
さらに「テレビで見たから」「あこがれ・夢」よりも、「いいと聞いた・評判が良いから」という、誰かの経験(=口コミ)に基づく “現実的な理由”がより上位に。
「一度は行ってみたい・宿泊したいから」「テレビで見たから」「あこがれ・夢」といった、いわば“憧れ消費”的なモチベーションが弱い状況がうかがえました。
次に、同じシティホテル・リゾートホテル・旅館を、再度利用したことがあるかお聞きしました。
◆同じシティホテル・リゾートホテル・旅館を再度利用した経験(n=1,000)
年齢と宿泊回数の関係上、当然とも考えられますが、やはり男女ともに年代が上がるにつれリピート経験率が概ね増えていく傾向です。宿泊経験を重ねるうち、自分の“お気に入りホテル”が固まっていくのかもしれません。
男女で結果を比較すると、女性より男性の方がよりリピート経験率は高く、その差は30代で最大に。19.6ポイントもの差がついています。
リピート客の獲得においては、女性の方がより難易度が高いと言えるでしょう。
次に、旅行の為の宿泊先としてシティホテル・リゾートホテル・旅館を選ぶ際、特に重視するポイントをお聞きしました。
◆旅行の為の宿泊先としてシティホテル・リゾートホテル・旅館を選ぶ際、特に重視するポイント(n=1,000)
「宿泊料金」「食事」「立地」がTOP3となり、そこに「温泉・大浴場の有無」や「清潔感」といった、“くつろげるか否か”を左右するポイントが並んでいます。
男女で比較すると、特に「食事」と「口コミ・評判」の重視度合いに大きな差がみられました。
「食事」を重視する割合について、男性で40%を超えたのは60代のみである一方、女性の場合、20代を除く全年代において40%以上となっています。
「口コミ・評判」を重視する割合についても男性は10%前後にとどまっている一方、女性は20代〜40代において20%を超えています。
最後に、前掲した設問【同じシティホテル・リゾートホテル・旅館を再度利用した経験】にて「ある」と回答した人に対し、その理由をお聞きしました。
以下のグラフは、上位10項目までを表示しています。
◆同じシティホテル・リゾートホテル・旅館を再度利用した理由(n=668)
順序は異なるものの、「宿泊料金」「立地」「食事」がTOP3である点は、前掲した設問【旅行の為の宿泊先としてシティホテル・リゾートホテル・旅館を選ぶ際、特に重視するポイント】と変わりませんでした。
普段のホテル・旅館選びにおいて「重視するポイント」と本設問の「リピート理由」とを比較すると、後者では「サービス(接客)」「清潔感」「館内設備」「部屋からの羨望」の4項目の割合増加が目立ちました。
中でも「サービス(接客)」は全体で14ポイントアップ。性年代別に結果を比較しても、20%を超えている層が多いことがわかります。
料金が最重要ではありつつも、やはり“期待を超えた”サービスを受けるとリピートにつながりやすいことは間違いないでしょう。