【調査データ】旅先で惹かれるものに関する調査 JTB総研調べ


 JTB総合研究所は8月19日、旅先で惹かれるものに関する調査の結果を発表した。

旅先で、なぜか見かけると必ず足が向かってしまう、なんとなくつい探し、見つけると嬉しくなる、そんなモノやコトはないでしょうか?旅行の主役ではないけれど、旅先での体験に彩りを添える、名脇役のような存在として、旅行者はどのようなコンテンツを求めているのか。株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 風間 欣人)は、アンケート調査とインタビュー調査を交え、「旅先で惹かれるものに関する調査」をまとめました。

 

【調査結果】

(1)旅行でつい惹かれてしまうことがある人は65.5%にのぼる

年1回以上観光旅行をしている人に対して、旅先でつい惹かれてしまうことがあるかを聞いたところ、「旅行のたびに、見つけると思わず足が向かってしまう店や場所がある」、「旅行のたびに、つい探してしまうモノ・コトがある」、「様々な旅行先で集めているモノやコトがある」のいずれかに回答した人は65.5%と半数を超えました。多くの人が、旅先で「ついついしてしまう」ことがあるようです。

(2)「ソフトクリームを食べる」、「街道歩き」、「その土地のカフェ・喫茶店」、「レトロな建物・お店」が人気。身近にもあるけれど、旅先ならではの「地元のお店」に惹かれる

普段の旅行の中でよくやることを聞いたところ、暑い時期ということも関係しているかもしれませんが、「ソフトクリームがあったら食べる」が1位となり、続いて「街道歩きをする」、「その土地のカフェ・喫茶店にいく/探す」、「レトロな建物・お店に行く/探す」が多くあげられました。ソフトクリームやカフェ・喫茶店、パン屋など、食に関する行動は女性が多く行っている印象がありますが、意外にも男女差はあまり見られませんでした。男性の方が女性に比べて比較的多く回答があったのは「街道歩きをする」、「旅先のスタンプを集める」、「地層を探す」で、何かのゴールに向けて達成したい、コレクションしたい、といった意識が垣間見えます。

今回の調査では、より具体的な旅行者の関心事を深掘りするために、アンケートだけでなく、インターネット上のチャット形式でのインタビュー調査でひとりひとりの旅行の体験について、詳細を聞きました。その結果、様々な旅先でのこだわりの行動が見えてきました。具体的な発言内容をみてみると、スーパーやカフェなど、身近にもあるけれど、「いつもとは少し違う」その旅先ならではのモノやコトを探す、間違い探しのような楽しみ、旅先の人々やいつもとは違う文化と出会える感覚などが、ついつい惹かれてしまうポイントとなっているようです。

 

(3) 「つい惹かれてしまうこと」を目的に旅行をすることがある人は約半数。旅行先の探し方にも変化?

 「つい惹かれてしまうこと」を目的に旅行することがあるかを聞いてみたところ、「そのことを目的に旅行をすることがある」は46.7%で、それ自体が、旅行の副次的な楽しみだけではなく、旅行自体を喚起する場合も少なくないことがわかりました。SNSの広がりで、旅程の決め方に関し、「まずどこに行くかを決めてから旅行先で何をするかを決めるパターン」だけでなく、「ふと目にした画像に惹かれ、その場所を探して旅行先を決めるパターン」も一般的になっています。今回のインタビュー調査でも、調べる方法としてSNSや地図アプリが多く挙げられました。SNSで流れてくる多くの画像に目をとめてもらうには、その画像に関心を持つであろう対象へとピンポイントで情報提供をしていく必要があります。情報を見てほしい人、関心を持つであろう人を、より具体的に定義し、情報提供を行う「ターゲティング」の重要性が、より一層高まっているのかもしれません。

 

(まとめ)

2019年における当社の調査結果(*1)から、下図のように、これからの観光の動機として、「非日常型(感動・満足)」から、「異日常型(感心・共感)」がより重視されるようになる、ということを提示しました。

その後コロナ禍により、居住空間に近い場所での観光の魅力に気づいたり、テレワーク等によって多拠点居住なども可能となってきています。また、旅行先の人々との交流に関心が高いZ世代が社会人となり、消費者としての裁量権が増す中で、「異日常型」の観光を求める傾向はより一層、広がりを見せているように感じます。

このような観光においては、従来型の観光スポットだけではなく、ごく普通の日常の風景、ひとつひとつが大切な資源です。

 

今回の調査でも、多くの人にとって、旅先でついつい惹かれてしまうことがあり、それらは「カフェ・喫茶店にいく」ことや、「パン屋に行く」という、普段の生活の中にも存在しているモノやコトたちでした。

「魅力的な観光地」になるためには、旅行者を満足させるに足る「非日常」感のある特別なモノ・コトを用意しなければいけない、と考えがちですが、案外旅行者が旅先で求めるものは、ダイナミックな光景や歴史的建造物のような非日常だけではなく、普段の自分の日常とはほんの少しだけ異なる、他の日常なのかもしれません。

また、このような傾向は、日本の国内旅行者だけでなく、Z世代が多い訪日旅行者においても同様にみられています。改めて、これまでの観光資源だけでなく、これまでは資源としてとらえていなかったようなモノやコトも含めた資源の棚卸をしてみるのはどうでしょうか。

 

 JTB総合研究所では、今後も旅の魅力を深堀し、旅行者が旅先で何を求めるのか、旅行者との交流を地域、旅行者、双方にとってより心豊かな体験とするためには何が必要なのか、調査を進めていきます。

(*1)「進化し領域を拡大する日本人の国内旅行(2019)」   https://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2019/09/japanese-tourism-changing/

 

【調査概要】

調査方法:インターネット調査会社が保有しているモニター対して、web アンケート調査/インタビュー調査を実施

対象者:

スクリーニング調査)日本国内に居住する 20 歳以上の男女(1,949名)

本調査)普段年1回以上観光旅行をしており、「旅先でついやってしまうことがある」と回答した人(180名)

インタビュー調査)本調査と同条件で、インターネット上のチャット形式で実施(36名)

調査時期:2024 年 8 月 2 日~9 日


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