【調査データ】LGBTQ+調査2023 電通グループ調べ


 電通グループは10月19日、「LGBTQ+調査2023」の結果を発表した。

電通グループ(ブランド:「dentsu」、本社:株式会社電通グループ、拠点:東京都港区、代表者:代表執行役 社長 CEO 五十嵐 博、以下「当社」)の国内事業を統括するdentsu Japan内の組織であるdJサステナビリティ推進オフィスは、2023年6月に全国20~59歳の計57,500人を対象として、LGBTを含む性的マイノリティーに関するインターネット調査を実施しました。
グループ傘下の株式会社電通では、2012年、2015年、2018年、2020年と4回にわたり、性自認や性的指向にかかわらず誰もが生きやすい社会づくりに向けて、LGBTQ+をめぐる現状の把握・課題発見を目的とした「LGBTQ+調査」を実施してきました。今回の第5回「LGBTQ+調査2023」では当社主導のもと、LGBTQ+当事者層※1(レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クィア・クエスチョニング(Q)、その他多様なセクシュアリティ(+)に該当する回答者。以下、「当事者層」)の意識や経験に加え、LGBTQ+非当事者層(異性愛者であり(ヘテロセクシュアル)、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する(シスジェンダー)回答者。以下、「非当事者層」)の意識や知識、行動についても詳細な分析を行いました。

また、調査結果をもとに当事者層と非当事者層の日常の中で対話のきっかけになるデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』をまとめました。「COMING OUT(カミングアウト)」「COMMUNICATION(コミュニケーション)」「DAILY LIFE(生活・暮らし)」「LOVE(恋愛)」の4つのテーマから双方の意識をデータで可視化することで、当事者層と非当事者層の対話のきっかけとなり、LGBTQ+当事者が安心して自分らしく生活できる環境づくりの一助となることを目指しています。

 

デジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』は下記URLよりダウンロードしてください。
URL:https://www.d-sol.jp/ebook/lgbtqplus-research-2023-things-i-have-always-wanted-to-ask-you

※1:「LGBTQ+調査2023」では、性のあり方を「性自認」、「生まれた時に割り当てられた性」、「性的指向(恋愛・性愛感情を抱く相手の性)」の3つの組み合せで分類。調査実施時点での回答にもとづき、異性愛者であり(ヘテロセクシュアル)、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する(シスジェンダー)に該当する回答者以外を「LGBTQ+当事者層」と定義しています。

<主なトピックス>

1.  LGBTQ+をめぐる意識を可視化したデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』を発表

2.  LGBTQ+当事者層の割合は9.7%。LGBT以外の多様なあり方についても、前回調査に引き続き聴取

3.  LGBTQ+へのインクルージョン意識は約8割と高いものの、ジェンダー中立的な言葉を使う人は2割未満など行動とギャップ

4.  LGBTQ+に関する取り組みを行う企業への就業意向は約6割で、非当事者層でも高い

5.  LGBTQ+の子どもを持つ親の約7割が「子どもの人生を精一杯応援したい」と思う一方で、約6割が「LGBTQ+の家族がいる家庭は地域で暮らしにくい」と回答

6.  パートナーシップ制度ありの自治体で暮らす当事者層の方が「住みやすい」と感じる。しかし「制度があっても知らない」が約7割で周知に課題

7.  LGBTQ+へのサポート意識によって情報への向き合い方に差がある

 

<各トピックの詳細結果>

1. LGBTQ+をめぐる意識を可視化したデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』を発表

 

 

調査結果をもとに制作したデジタルブック『実はずっと聞いてみたかったこと』を無償でダウンロードできる形式で発表した。「COMING OUT(カミングアウト)」「COMMUNICATION(コミュニケーション)」「DAILY LIFE(生活・暮らし)」「LOVE(恋愛)」の4つのテーマから双方の意識をデータで可視化することで、当事者層と非当事者層の対話のきっかけとなり、LGBTQ+当事者が安心して自分らしく生活できる環境づくりの一助となることを目指している。

 


画像はデジタルブックからの抜粋で、耳の大きなうさぎのキャラクターがお互いの声を聞いているというモチーフで作成。「LGBTQ+調査2023」の結果に加え、追加で実施した定性調査から得られた、当事者層と非当事者層双方からの声を紹介している。

2. LGBTQ+当事者層の割合は9.7%。LGBT以外の多様なあり方についても、前回調査に引き続き聴取

 

「LGBTQ+調査2023」では、性のあり方を「性自認」、「生まれた時に割り当てられた性」、「性的指向(恋愛・性愛感情を抱く相手の性)」の3つの組み合せで分類。調査実施時点での回答にもとづき、異性愛者であり(ヘテロセクシュアル)、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する(シスジェンダー)回答者以外を「LGBTQ+当事者層」と定義している。その結果、57,500人を対象としたスクリーニング調査の全回答者に占めるLGBTQ+層の割合は9.7%と2020年調査の8.9%から微増となった。LGBTQ+に関する情報の増加により、自分自身の性自認や性的指向への気づきが進展したことが増加の要因の一つであると推測される。しかし、匿名のアンケートであっても性自認や性的指向を表明することが難しい回答者もいることや、ジェンダーやセクシュアリティの認識は個々人の中でも流動的なことを鑑みつつ、今後もスコアの動向を注視していきたい。

 

 

また「性自認×生まれた時に割り当てられた性」と「性自認×性的指向」のそれぞれの組み合わせによって分類した内訳は上記の通りとなった。L・G・B・T以外にも多様な性のあり方の存在が確認され、「ノンバイナリー/Xジェンダー(男性か女性か変わることがある、一定ではない、男性・女性のどちらでもあると感じる、男性・女性のどちらでもないと感じる)」が1.38%、「性自認のクエスチョニング(男性か女性かどちらかわからない)」が0.26%、「アロマンティック(性別に関係なく、他者に恋愛感情を抱かない)」が1.43%、「アセクシュアル(性別に関係なく、他者に性的に惹かれない)」が1.56%、「性的指向のクエスチョニング(好きになる相手・性的に惹かれる相手の性別がわからない)」が0.58%となった。

 

3. LGBTQ+へのインクルージョン意識は約8割と高いものの、ジェンダー中立的な言葉を使う人は2割未満など行動とギャップ

 

非当事者層の意識面では、「職場や学校などの仲間からLGBTQ+などの性的マイノリティーであることをカミングアウトされたときは、ありのまま受け入れたいと思う」が84.6%、「LGBTQ+などの性的マイノリティーの職場や学校の仲間にも、自分らしくいてほしいと思う」が84.5%、「LGBTQ+の当事者に相談されたときはできるだけ協力したい」が77.3%と、いずれも高いインクルージョン意識が見受けられる。

一方の行動面においては、「『彼氏、彼女』ではなくて、『パートナー』や『恋人』など性別を特定しない言葉を使うようにしている」17.1%、「目の前で誰かが差別的な言動をとった時は、話題を変えたり、注意をする」36.7%、「LBGTQ+について正しく理解できるよう、情報収集や、当事者の声をしっかり聴くようにしている」31.1%と全体的に低い結果となった。LGBTQ+に対するインクルージョン意識は浸透してきているものの、インクルージョンに繋がる行動を実際にとっている人は限定的である。

4. LGBTQ+に関する取り組みを行う企業への就業意向は約6割で、非当事者層でも高い

 

 

「LGBTQ+をサポートする企業で働きたいと思う」かという質問に対しては、「待遇や職種に関わらず働きたい」が18.0%(当事者層21.8%、非当事者層17.6%)、「待遇や職種が他社と同条件であれば、働きたい」が42.2%(当事者層44.9%、非当事者層41.9%)となり、LGBTQ+フレンドリーな企業への就業意向は、全体で約6割となった。当事者層の方が意向はやや強いものの、非当事者層も大きな差はない。

 

「LGBTQ+支援を表明する企業」へのイメージを尋ねたところ、「社会の変化に対応できる」「ハラスメントが少ない」「社員が働きやすい」が上位に入り、LGBTQ+の当事者だけでなく、非当事者のあいだでもポジティブなイメージがもたれていることがうかがえる。

 

5. LGBTQ+の子どもを持つ親の約7割が「子どもの人生を精一杯応援したい」と思う一方で、約6割が「LGBTQ+の家族がいる家庭は地域で暮らしにくい」と回答

 

回答者のうちLGBTQ+など性的マイノリティーの子どもを持つ親を対象に、「性的マイノリティーとしての困難はあるかもしれないが、子どもの人生を精一杯応援してあげたいと思う」かどうか聞いた質問では、「そう思う」もしくは「ややそう思う」と答えた回答者を合わせると、67.4%となった。

 

また、「自分の住んでいる地域では、性的マイノリティーの家族がいる家庭は暮らしにくいと感じる」と答えた人は56.5%となり、LGBTQ+の子を持つ親が地域での生活において不便を感じたり、課題に直面している可能性を示唆する結果となった。

 

6. パートナーシップ制度ありの自治体で暮らす当事者層の方が「住みやすい」と感じる。しかし「制度があっても知らない」が約7割で周知に課題

 


自分が住んでいる「地域が住みやすいと感じるか」について尋ねたところ、性的マイノリティーのカップルを結婚に相当する関係とする証明書を自治体が発行する「パートナーシップ制度」のある自治体に住む当事者層の方が、制度のない自治体に住む当事者層よりも、住みやすさを感じていることが明らかになった。

 

一方で、パートナーシップ制度の認知にはまだ低く、パートナーシップ制度のある自治体に住む回答者のうち68.5%(当事者層58.4%、非当事者層69.4%)が制度の存在を知らないという結果になった。もちろん導入されてからの期間が短い自治体も多く含まれるという事情は考慮すべきではあるが、パートナーシップ制度のある自治体では住民や企業などでの理解促進も期待されるため、周知が望まれる。

 

7. LGBTQ+へのサポート意識によって情報への向き合い方に差がある

 

 

近年、SNSを中心として、LGBTQ+に関する誤解に基づく言説の流布が問題となっている。この状況を受け、LGBTQ+非当事者層のクラスター分析※2LGBTQ+調査2020」の調査リリースを参照)を用い、クラスター毎に情報への向き合い方に差があるか確認した。

 

その結果、「アクティブサポーター層」や「天然フレンドリー層」など、LGBTQ+へのサポート意識のある層では、8割程度が「自分とは異なる立場の意見にも触れるよう心がけている」ことがわかった。

 

反対に、「誤解流され層」や「批判アンチ層」など、LGBTQ+に関する理解が乏しく批判的な層の方が、「フェイクニュースにだまされない自信がある」と感じている人の割合が高く、情報に対する向き合い方に違いが見られた。

※2:20~59歳のLGBTQ+非当事者層5,640人に対し、LGBTQ+に対する意識や知識を問う数十問の質問を用意。得られた回答を、課題意識、配慮意識、生理的嫌悪、社会影響懸念、知識の5つの因子で分析し、6つのクラスター(アクティブサポーター層、天然フレンドリー層、知識ある他人事層、誤解流され層、敬遠回避層、批判アンチ層)にグループ分けした。

「電通LGBTQ+調査2023」概要
調査主体:dJサステナビリティ推進オフィス
調査協力:電通ダイバーシティ・ラボ

<スクリーニング調査>
調査対象:20~59歳の個人57,500人
調査対象エリア:全国
調査時期:2023年6月14日(水)~19日(月)
調査方法:インターネット調査

<本調査>
調査対象:20~59歳の個人6,240人(LGBTQ+層該当者600人/非LGBTQ+層該当者5,640人)
調査対象エリア:全国
調査時期:2023年6月14日(水)~19日(月)
調査方法:インターネット調査

注:LGBTQ+当事者層割合、人口構成比に併せて、都道府県、性別、年代(20-30代/40代-50代区切り)でウェイトバックをかけています。

 


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