JTBコミュニケーションデザインと伊藤忠ファッションシステムは2月21日、Z世代の旅に関する共同調査の結果を発表した。
JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供している株式会社JTBコミュニケーションデザイン(東京都港区芝 代表取締役社長執行役員 古野浩樹/ 以下JCD)と伊藤忠グループの総合コンサルティング企業である伊藤忠ファッションシステム株式会社(東京都港区北青山 代表取締役社長 駒谷隆明/ 以下ifs)は、「Z世代の旅」に関する共同調査プロジェクト、「令和的非日常 Z世代における生活価値観・消費傾向から読み解くこれからの旅行スタイル」としてまとめました。
昨今注目されているZ世代は、消費自己裁量権獲得時期※1が、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと重なっている人も多く、様々な制限を強いられる中でライフスタイルや消費の価値観を形成してきました。その中でも特に影響を受けた消費活動が旅です。Z世代の中には、旅の経験が豊富でないまま現在まで至る人も少なくはありません。
本共同調査プロジェクトは、ツーリズム市場におけるコミュニケーション領域のプロフェッショナルであるJCD と、30年以上にわたり独自の視点から生活者研究を行うifsとが、互いの持つナレッジを掛け合わせることで、Z世代が消費を牽引していく令和における旅の兆しと、多様化するZ世代のライフスタイル/旅行スタイルを明らかにすることを目的に実施しております。
※1消費自己裁量権獲得時期とは
消費自己裁量権獲得時期は、高校卒業頃に始まり20代前後がピークにあたる。多感な10 代後半に欲しいものやしたいことを思い描き、積極的に情報収集に励んだ後、大学入学から就職直後の時期は、情報に加え、時間や金銭の面でも自分の消費だけに集中できる時期となる。それは同時に「かわいい、かっこいい」と世間からちやほやされ、自分が最も輝ける時期でもある。その頃に見聞きしたモノ・コト、特に慣れ親しんだファッションやカルチャーは、その後どんなに年齢を重ねても、生活者の消費志向のベースにあると考えられる。
- 【調査概要】
ライフスタイル高感度層・旅行関連事業者デプスインタビュー
・実施時期:2023年2月16日(木)~ 2023年4月14日(金)
・調査手法:リアル会場orオンラインでのデプスインタビュー調査
・調査対象者:
【ライフスタイル高感度層】安藤美冬氏(作家)、千東和希氏(MCNAI MAGAZINE創設者)、ミニマリストしぶ氏(ミニマリスト・インフルエンサー)
【旅行関連事業者】伊豆大島ミライプロジェクト 大野修一氏(TH E NOMAD HOTELS & OUTDOORS 創業者)、河瀬大作氏(NHK「チョイ住み」プロデューサー)、Sucle 編集部 Nobu氏(kermistokyoシェフ)、中村圭氏(7NaNaturalブランドディレクター)
ライフスタイル・旅行価値観に関するインターネット調査
・ 実施時期:2023年5月11日(木)~ 2023年5月15日(月)
・調査エリア:全国
・ 調査手法:インターネット調査
・調査対象:18歳~35歳男女1,300人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)
ライフスタイル・旅行価値観に関するZ世代向けグループインタビュー
・実施時期:2023年7月1日(土)~ 2023年7月3日(月)
・調査手法:リアル会場でのグループインタビュー調査
・調査対象者: 首都圏在住の18歳~26歳男女24人(3~4名/1グループ)
ライフスタイル・旅行価値観に関するZ世代向けデプスインタビュー
・実施時期:2023年8月25日(金)~ 2023年8月31日(木)
・調査手法:リアル会場orオンラインでのデプスインタビュー調査
・調査対象者:首都圏在住の19歳~25歳男女6人
- 【調査レポート概要】
本プロジェクト(調査)を通じて得た調査レポートの概要は次の通りです。
尚、ここで得られたZ世代に関するデータ・知見を、ツーリズムに限らず様々な企業様のコミュニケーション活動に使用する事を目的としています。
1. Z世代が旅に求めることは「非日常」
インターネット調査対象者全体の旅行に対する感覚やイメージは、「非日常を味わうもの」(45.0%)がトップ。次いで、「ストレス解消に繋がるもの」(39.7%)、「自分に対するご褒美」(32.1%)が続く。
Z世代(18-26歳)、Y世代(26-36歳)いずれの世代においても「非日常を味わうもの」がトップスコアとなり、世代を超えて求められている。
Q. 以下の中から、あなたの旅行に対する感覚やイメージとしてあてはまるものをすべてお選びください。※ビジネス・学校などでの旅行(出張や留学など)は除いてお答えください。※宿泊の有無は問わずお答えください。
- Z世代にとっての非日常=「令和的非日常」は“快放されるひととき”が得られること
グループインタビュー・デプスインタビューを通じて浮かび上がった「非日常」が旅に求められる背景として、デジタル化により他者といつでもどこでも繋っている状態や日々のタスクに追われることからくる疲れから心理的に距離を置き、他者に気を遣うことなく自分らしくありたい= “快放されるひととき”を得たいというニーズが顕著であったことが伺えた。
また、本レポートでは、各世代や時代の空気や旅行トレンドを踏まえ時代によって異なる「非日常」に込められた意味合いを下記の通り定義した。
2. Z世代が“快放されるひととき”を実感する5つのキーワード
“快放されるひととき”を実感できる具体的な体験について、グループインタビュー・デプスインタビューを通じてヒアリングした結果、下記の5つのキーワードが浮かび上がった。
❶ “私的”特別な空間
日常から距離や時間的に遠く離れていなくとも、普段の生活とは異なる空間であることが、日常からの心理的距離を感じさせ非日常感を演出する。首都圏にありながら、異国的な町並みが楽しめる空間や都心から距離的には離れていないが海に囲まれて内地とは遮断された島々、料理だけでなくこだわりのインテリアを楽しめるレストランなど、物理的距離や移動時間と関係なく、空間として日常と異なる世界観を感じることが重要。
❷ 疑似日常体験
自分の暮らす土地とは異なる土地で、旅先で有名な観光地やお店を回るだけではなく、そこで暮らす人々と触れ合ったり、地元の人しか行かないローカルなお店で食事を楽しんだり。その土地ならではの日常を過ごすことが日常との心理的な距離を生み出し、精神的な豊かさや満足感を享受させる。
❸ つながりをOFFに
普段からたくさんの情報に触れ、他者とも気軽にコミュニケーションが取れるからこそ、かえってそれが気疲れにもつながっており、日常の中でスマホから離れたいと思うことも多い。だからこそ、旅の同行者は気を遣わなくて済む相手を厳選したいという欲求が強く、旅先では旅を言い訳にしながら、あえて日頃の人間関係のつながりや情報を一時的に遮断するなど、意識的に快適な状況を作ることを重要視している。q
❹ 好きに浸る
気の合う友人であってもお互いに気遣いはあったり、コミュニティ内では「自分のイメージに合った行動をしなくては」という意識が強い。また、趣味で繋がるコミュニティなどがあっても、たとえば「ライブの時間だけ一緒にいる」など、そのコンテンツ以外での交流は見られないため、本当に自分が好きなコトに没頭できる一人の時間が必要であり、その時が一番自分の素が出せる時間という意識が強い。
❺ 思い出はお守り
やらなければならない(と感じる)ことが多く、仕事や学業に追われ時間がないと感じている人が多い中で、SNS などを通じて見える他人の成功や特別な体験と比較して、自信を無くしたり、不安感を抱いて日常を過ごす人が多い。非日常である旅先で過ごした「自分らしい快い時間」を振り返り、そこにいた自分を再確認することができる旅の思い出は、自信のなさや不安感とのバランスを取るためのものであり、写真としてスマホやSNS にいつでも取り出せる形で保存。
≪5つのキーワードに関する調査やデータなどの詳細をPDF版にてダウンロードいただけます≫
https://go.jtbcom.co.jp/jcd/csc/wp/02/
3. Z世代の旅を象徴する4つの【ライフスタイル×旅行スタイル】クラスター
“快放するひととき”がZ世代に通底する旅に対するニーズであるものの、Z世代の実際の旅行スタイルは、ライフスタイル価値観や旅行に対する意識によって多種多様である。
個人によって多様な旅行スタイルを、令和のスタンダードになり得る4つの兆しとして分類、Z世代の多様な個人の旅ニーズをより深く分析した。
<全体図>
<代表的な4つのクラスター>
≪本リリースで紹介した調査やデータなどの詳細をPDF版にてダウンロードいただけます≫