2016年は皆さまにとってどんな年だっただろうか。昨年のコラムでは、「売り上げのさらなる拡大を目指し、金融機関の根本解決を図ること」をテーマに掲げた。
皆さまの館は実りある成果を上げることができただろうか。DDSなどの金融支援を受けて再生のチャンスをつかんだのであれば大変喜ばしいことである。期待通りの結果にならなかったのであれば、今年こそはチャンスを勝ち取ってほしい。
今年はどんな年になるだろうか。小職は「油断していると足下をすくわれるリスクの多い年」となると考えている。好調の中でも、リスクの芽を早く見つけ対策を打っていきたい。勝って兜の緒を締めることである。今回コラムでは、対策を取るべきポイントを紹介しよう。
■インバウンドの行動パターン変化に注意する
昨年は、好調だったインバウンドが急減したと方々の旅館・ホテルで聞くことが多かった年だった。外国人のお客さまもランドオペレーターも移り気な性格である。
興味関心の変化により人気ルートが変わってしまったり、ランドオペレーターが隣館にたやすく乗り換えたりすることで売り上げが激減する可能性がある。長期的で安定的な取引ができるような信頼関係を築いていれば良いが、年の途中に気移りするとも限らない。
特定の旅行会社から“受け身”の送客に頼るのではなく、自館にふさわしいお客さまを抱えている旅行会社に対して、こちらから出向いてお付き合いできるよう行動することをお勧めする。
■雇用環境の変化に注意する
昨年は過重労働による事件が世の中をにぎわせた年だった。労働条件について、従業員、労働基準局とも敏感な年になるだろう。就業規則、賃金規程などで悪意のある従業員に突かれてしまうような漏れがないか今一度チェックしよう。
慢性的なサービス残業を課題としている旅館・ホテルは仕方がないと諦めずに、業務効率化やシフトコントロールの工夫を行おう。採用や定着化に苦戦しているのであれば、異業種の取り組みを学ぼう。今までの仕事のやり方を守ることが伝統を守ることではない。雇用環境の変化を捉えて柔軟に対応しよう。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)