【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 412】女性が働きやすい職場3 青木康弘


 前回に引き続き、女性に焦点を当てて、働きやすい旅館・ホテルにするための具体的な対策について紹介しよう。

 長時間労働を是とする旧態依然とした考え方や、独特の労働慣習にとらわれていることが、スタッフの採用や定着化を妨げている。親の介護をきっかけに離職や休職する男性も増えてきている。女性にとって働きやすい旅館・ホテルを目指すことで、男性やシニア、若者にとっても働きたい会社にすることができるだろう。

 6、余裕を持った人員体制とする

 目先の人件費を抑制するため最小限の人員数とするのではなく、スタッフが急に休んでも対応できるよう余裕を持った体制としよう。例えば、フロントはナイト含めて最低6人いればシフトを組むことができるが、7、8人と若干人数に余裕を持たせると良い。

 一見すると経費増になるが、長期的にみると副次的なメリットも多い。まず、スタッフの定着率向上により採用コストが抑制される。ハローワーク以外で正社員を採用する場合、数十万円単位の求人費用は覚悟しなければならない。

 次に、スタッフの早期戦力化につながりやすくなる。スタッフ数に余裕を持たせると、ベテランが若手に仕事を教える時間が生まれるからだ。最後に、リーダー人材を育てることができる。日々の作業に没頭していると管理職としての能力が育たない。余裕が出た時間を予算管理や部下指導に当てることで、経営者の右腕となる人材を育てることができるだろう。

 7、男性向けの育児サポート制度を創設する

 共働きが当たり前になっている現在では、育児や介護は女性だけでなく、男性も積極的に関わらないと成り立たない家庭が多くなってきた。産前・産後休暇や出産休暇、育児休業、看護休暇は女性向けの規程というイメージがあるが、男性でも利用しやすいよう独自の育児サポート制度を導入すると良いだろう。

 例えば、小学生までの子どもの看護や予防接種・健康診断への同行、保育園・学校行事への出席を目的とした休暇制度、時短勤務、繰上勤務、繰下勤務、宿直勤務・残業の免除などである。20代後半から30代の男性スタッフの採用・定着化に苦戦しているのであれば検討することをお勧めする。自社の現状を踏まえて導入可能なものから取り組むと良いだろう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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