【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 418】成果が上がるベスト施策1 青木康弘


 皆さまの旅館・ホテルの現場では問題対処や創意工夫、業務改善の繰り返しによって運営レベルを向上し、売上利益、顧客満足度のアップを図っていることだろう。一方で、取り組んだ時間と努力の分だけ成果が上がるとは限らないのが現実だ。

 いろいろと取り組んでいるが成果が見えてこず、「カイゼン疲れ」している現場も少なからずあるだろう。今回コラムでは、売り上げや利益、顧客満足度アップに大きな効果が得られたベスト施策を小職の経験に基づき紹介したい。

 (1)365日料金カレンダーを見直す

 旅館・ホテルの料金カレンダーは、平日料金から特定日料金まで約6段階で設定しているケースが多いが、実需に適ったものになっているだろうか。過去2年程度の毎日の部屋タイプ別の客室稼働率と宿泊単価データから検証してみよう。

 着眼点は次の通り。(1)月や週単位で平日の稼働率に大きなばらつきはないか(2)平日の曜日によって稼働率に大きなばらつきはないか(3)休前日・祝祭日の稼働率が高すぎないか(4)部屋タイプごとの稼働率に大きなばらつきはないか―。

 月や週単位で平日の稼働率に大きなばらつきがあるのであれば、平日料金を複数段階設定することをお勧めする。例えば、自館の年間平均稼働率が60%と仮定し、平日の稼働率が3月は80%、6月は40%ならば前者は値上げ、後者は値下げすることになる。

 平日の曜日によって稼働率に大きなばらつきがあるのであれば、曜日ごとの平均稼働率を集計して、全体の年間平均稼働率よりも稼働率が高ければ値上げ、低ければ値下げをすることになる。

 休前日・祝祭日の稼働率が高すぎるのであれば値上げをすることも検討したい。一般的に稼働率が高すぎると顧客満足度は下がる傾向にあるので、口コミ評価の改善にもつながるだろう。反対に稼働率が低いのであれば、料金設定が強気すぎる可能性がある。特に、低価格帯~中価格帯の旅館・ホテルは、平日との料金差をあまりつけない方が良い。

 客室タイプごとの稼働率に大きなばらつきがあるのであれば、客室タイプごとに料金カレンダーを作成しよう。特に露天風呂付き客室と一般客室は利用する客層も予約の入り方も大きく異なるので、料金カレンダーは分けて作成することをお勧めする。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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