前回に引き続き、業務マニュアルを上手に作成するための手順を紹介しよう。作成するにあたって重要となるポイントだけでなく、運用・定着化のコツも紹介したい。
11、旅館・ホテルの用語集
旅館・ホテル業は難しい専門用語が多く、初めて働くスタッフは意味が分からず戸惑うことが多い。働きながら上司や先輩に教えてもらうというのは大変効率が悪いので、業務マニュアルで必要な専門用語をリスト化して習得させたい。
用語集に掲載する単語数は、150~200語くらいを目安にすると良い。あ行から順に、「アサイン」「アップグレード」「アメニティ」「アーリーチェックイン」「インバウンド」というように用語を50音順に並べて、それぞれに簡単に解説文をつけよう。例えば、「アサイン」は、「予約客に客室を割り当てること」という程度の解説文で構わない。
用語や解説文のたたき台は、インターネットで数多く紹介されている。「ホテル用語」というキーワードで検索してみよう。気に入ったサイトを参考にリスト化していくと良い。
掲載する用語のバランスは、皆さまが運営する館の業態によって異なる。旅館やシティホテルであれば、フロントや予約、接客、料飲に関するものを幅広く掲載すると良い。宿泊主体型ホテルであれば、フロントや予約に関するものに限定して掲載すると良い。社内で日常的に使用している用語を洗い出して、用語の傾向やバランスを把握しておくと無駄のないものになるだろう。
スタッフに経営感覚を身につけさせたいならば、定員稼働率や客室稼働率、宿泊単価、総消費単価、喫食率、料飲原価率、水道光熱費率などの指標についても用語集に掲載すると良い。解説文に計算式を記載すれば理解しやすい。経営幹部でも意味を理解して自分で計算できないケースがある。業務マニュアルに明記することで知識を振り返るきっかけとしたい。
専門用語を教えても習得率が悪い場合には、研修終了時に確認テストを実施すると良い。向上心、吸収欲が旺盛な入社時に習得すれば、早期に戦力になってくれるだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)