【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 483】旅・ホの人手不足解消法7 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率が常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。

 14、良い意味で料理にこだわりすぎない

 料理は旅館・ホテルの魅力の一つであるが、完璧を求めすぎると多くのスタッフが必要になる。自館で提供している料理が過剰なものになっていないか、ターゲット客層にふさわしいものになっているか、他施設を実際に調査して客観的に判断することをおすすめする。

 調査は卓越した料理を提供する館だけでなく、一見平凡に見える料理でも高評価を得ている館を対象とした方が良い。手間ひまかけた料理がお客さまからの評価に必ずしも結び付いてないことに気付かされるだろう。

 例えば、露天風呂付きの高級旅館が、どこでも豪華な朝食を提供しているかというとそうではない。一汁三菜のシンプルなものを提供しながら高評価を得ている館もある。調理スタッフが作り置きや既製品で品数を増やしたり、料飲スタッフが多くの食器を並べたりするために余計な残業をする必要がないので合理的だ。夕食と朝食の担当者を分けることができ、中抜けシフトから交代勤務への移行もしやすくなるだろう。

 大人向けの朝食をシンプルなものにして省力化を図る代わりに、子ども向けの食事を工夫して高評価を得る取り組みも良い。大人向けと同様シンプルなもので問題ないが、子どもの年齢に合わせて細分化することが望ましい。子どもの教育に熱心な客層だと子ども向けのお品書きや食材の説明書きなども喜ばれる。あらかじめ準備しておけるので、料理内容で差別化するよりも人手はかからないだろう。

 地元業者とタイアップしたメニューも人手不足解消の有効な手段だ。例えば、地元の農家が栽培したベビー野菜をそのまま使用したサラダや、自家焙煎店より仕入れたコーヒーを提供するなどが考えられる。調理スタッフの手間をかけずに料理の評価を高めることができるだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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