前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率が常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。
15、奨学金返済支援制度を導入する
学生の時に借りた奨学金の返済に苦労する社会人は多い。資金的に余裕があるならば、奨学金を返済している常勤スタッフに対して、返済を肩代わりする奨学金返済支援制度の導入を検討すると良いだろう。実際に、飲食業や小売業、ブライダル業、人材派遣業などを中心に導入する企業が出始めてきており、優秀な人材の確保や長期雇用につながっている。
支援金を支給する方法は、毎月支給型と定期支給型の二つが考えられる。前者は、在籍するスタッフに奨学金返済相当額を毎月支払う方法だ。例えば、毎月2万円を最大5年間支給するという制度設計が考えられる。後者は、一定期間在籍したスタッフに定額を支給する方法だ。例えば、在籍5年、10年の常勤スタッフに最大100万円ずつ支給するという制度設計が考えられる。
制度利用の対象者は、貸与型の奨学金であること、支給予定日に在籍していること、奨学金返済に充当することなどを条件にすると良いだろう。返済不要の奨学金については当然のことながら対象とはならない。
退職予定者に支給することは制度の趣旨に反するので、支給予定日におけるスタッフの在籍状況をチェックする必要がある。月の給与と合わせて支給することになるが、確実に奨学金の返済に充当されたことを確認するために、払込取扱票や残高確認書の写しを提出してもらうと良いだろう。
奨学金を利用していないスタッフから不満が生じるのではないかという不安はあるが、実際に導入した企業からは、採用人数アップやモチベーション向上、長期雇用につながったというプラスの報告がなされている。興味あれば前向きに導入検討することをおすすめしたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)