前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。
4、事業分野に応じた原因を把握する
旅館・ホテルは、宿泊事業以外に一般宴会、婚礼、レストランなどを展開していることが多いが、業績低下要因を一緒くたに捉えてしまうと誤った経営判断につながりかねない。事業分野ごとに原因究明の手法を身につけたい。
分析を行う際には、各事業分野の重要経営指標(KPI)を整理するところから始めると良い。一般宴会では、施行組数、1組当たり人数、1組当たり単価、1人当たり単価、顧客別取引額を把握しよう。婚礼では、婚礼組数、1組当たり人数、1組当たり単価、1人当たり単価、イベント来場者数、成約率、プランナー別受注額、挙式・料飲・付帯売上の内訳を把握しよう。レストランでは、朝食喫食率、席回転率、時間帯別売上、時間帯別客数、料理・飲料単価を把握しよう。このような指標は時間をかければ手計算でも算出できるが、できればシステム導入により自動でレポート作成できるようにしたい。
KPIを整理したら、過去3年間の毎月の推移をみて、変化している指標をつきとめよう。例えば、一般宴会で施行組数と顧客別取引額に変化がないにもかかわらず、1組当たり人数が減っている場合には、宴会を行う団体の組織率が低下している可能性がある。既存顧客の維持に努めながら、新規顧客の開拓を行うと良いだろう。
婚礼で1組当たり人数や単価に変化がないにもかかわらず、イベント来場者数が減少している場合には、広告宣伝や施設の商品力に問題がある可能性がある。広告記事やイベントの内容、広告掲載媒体の選択を見直したり、商品力向上のためのリノベーションを検討したりすると良いだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)