前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。
6、落ち着いて対処するための体制づくりを行う
業績低下が深刻化すると、オーナー経営者は資金繰りのことで頭がいっぱいになり、現状分析や適時適切な改善施策に取り組む気持ちや時間の余裕がなくなる。そうなると、さらなる業績悪化により経営上の危機に直面することになる。
このような状況に陥らないためには、業績悪化時でも資金繰りに困らないよう日頃から倹約に努め現預金を手厚く持っておくことが大切だ。身の丈を超えた利益が得られたからといって、効果が見えない設備投資や冗費支出を行うと業績悪化時に困ることになる。
不可抗力によってやむなく資金繰りに困った場合、保証協会や日本政策金融公庫の制度融資、雇用調整助成金などを活用しよう。制度に申し込む際には、最悪のことを想定して可能な限り多くの借り入れを行うことが望ましい。必要最低限しか借り入れしないと、月中の資金繰りに苦労することになり、前向きな改善施策を考える余裕がなくなる。万が一、さらに状況が悪化した際には再び経営危機に直面することになる。
資金繰りの問題が解決したら、厳しい経営状況を幹部やスタッフによく説明して、困難な状況を一致団結して打開できるような環境づくりを行おう。パートアルバイトに対しては休業手当を支払うことで、業績回復時に復帰してもらえるよう関係維持を図ろう。
利益が低下した際の原因究明や対策は、経営者1人でできることではない。窮境を打開するためのプロジェクトチームを結成して、関与メンバーが知恵を絞って改善策を立案、実行することが望ましい。
(アルファコンサルティング代表取締役)