【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 538】コロナを考慮した事業計画8 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回コラムに引き続き、新型コロナウイルスの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、夏休み以降の業績見通しが立たないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。

 7、Go Toトラベル終了後の落ち込みに備える

 Go Toトラベルの恩恵により、一部施設では昨年同月を超える売り上げとなっている。東京が対象となった10月以降は、全国的に旅行ムードが高まっており、さらに売り上げを伸ばす施設が増えていくだろう。しかし、この売り上げは実力によってもたらされたものではないという認識が必要だ。

 来年の春先には予算が上限に達して終了する見込みである。政府より終了日が告知されると、駆け込み需要で旅行ブームが再燃するだろう。その後はGo Toトラベルの反動で、低水準の売り上げがしばらく続くと予想される。

 Go Toトラベルの効果で現預金残高が増えると、金融機関から既存債務を返済するよう要請される可能性がある。資金に余裕があるならば少しでも借入金を返してほしいという考えだ。

 しかし、この特需はいつまでも続くわけではない。返済要請はきっぱりと断ることをお勧めする。むしろ、終了後の反動に備えて現預金残高を維持しておきたい。

 新型コロナに対応する制度融資の供給はひと段落し、金融機関は取引先を選別するようになってきている。緊急事態宣言が全国に拡大した時のように、無条件で融資実行されることはない。融資条件が厳しくなることを見越して、今後、いくら資金が必要になるか、資金繰り計画で具体的な金額を把握しておくと良いだろう。

 金融機関から資本性ローンや劣後ローン、メザニン、ファンド、資本増強といった単語が出てきたら、通常の融資はできないと言外で示されたということである。銀行だけに頼らない防衛策を今のうちから準備したい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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