前回に引き続き、ポストコロナ時代のM&A戦略について最新の情勢を踏まえながら説明したい。新型コロナの流行は旅館・ホテルの運営の在り方だけではなく、M&A取引(合併・買収)にも大きな影響を与えている。業界の先行き不透明感や資金繰り問題から売却を急ぐオーナーが増えている一方で、新型コロナによる混乱を商機ととらえて積極的に買収を仕掛ける資本家もいる。
2、運営能力ある旅館・ホテルは絶好の機会となる
自社の運営能力に自信があるならば、ぜひこの機会に運営受託事業(オペレーター事業)へ参入することをお勧めする。新型コロナ流行前は新規開業する施設の数に対して、優良なオペレーターの絶対数が不足していた。開業時期が迫るなかで未熟な事業者へ委託したり、素人集団で直営化したりすることも多かった。
新型コロナの流行によって、運営力のない事業者は淘汰(とうた)され、ますますオペレーターが不足する状況になっていると考えられる。再生事業と称して、ファンド等と連携して運営先の拡大を図っているチェーンがあるが、全体から見れば限定された動きである。
このようなときは、長年運営能力を培ってきた皆さまにとって絶好のチャンスだ。運営受託にはさまざまなスキームがあるが、リスクを最小限に進出するならばマネジメント契約(MC)をお勧めする。運営者側の初期投資や収支リスクを最小限にすることができる。物件所有者側からは定期建物賃貸借契約を希望されることが多いが、確実な収益が見込まれる物件であれば検討してもよい。
運営受託事業に参入しようと考えているならば、自社サイトに運営受託事業に関するページを記載することから始めてみよう。内容は「ホテル運営受託」とグーグルで検索し、他社の掲載内容を参考に作成すればよい。次に、PR TIMESによるプレスリリースやリスティング広告へ掲載して周知活動を行おう。M&A仲介業者とのつながりをもてば受託について相談を受ける機会も増えるだろう。
「運営受託事業を取り組みたいがどのように進めたら良いか分からない」「運営してもらいたいと他社から打診を受けているが引き受けて良いか分からない」と悩んでいる方は、本紙読者限定で無料相談を受け付けている。詳しくは、yaoki@alfa-consulting.co.jp宛に連絡してほしい。
(アルファコンサルティング代表取締役)