前回に引き続き、休館中でも取り組める施策を紹介したい。新型コロナウイルスの再燃により、ゴールデンウイーク明けから休館を余儀なくされている施設は少なくない。いつ終息するのかと気をもむ日々を過ごすのは辛いものである。今のうちからアフターコロナに向けた準備を進めておきたい。
3、ユニークな取り組みを行い、認知度向上を図る
コロナ禍で怖いのは、営業自粛が長期間続くことによって、お客さまが皆さまの施設を忘れてしまうことだ。特にリピート比率が高かった施設は、営業再開した時に思い出してもらえるよう、今のうちからメディア露出の機会を増やしておきたい。
お勧めしたいのが異業種との業務提携である。IT系ベンチャーやソーシャルビジネスを手がける企業と共同で取り組みをするだけでニュース性が高くなる。例えば、オンラインフィットネスを提供する会社と提携して、眺望の良い客室をスタジオ化するという企画だ。低コストながらもユニークな取り組みとして注目されるだろう。
一見ハードルが高いように思えるが、相手先企業も日ごろから新しいビジネスの切り口を探している。各社とも自社ホームページに問い合わせフォームがあるので、企画提案することをお勧めする。もし、取り組みが具体化したらPR TIMESなどで宣伝しよう。リスティング広告に予算を割くよりも宣伝効果は抜群だ。
4、働いた人が評価される職場環境を取り戻す
雇用調整助成金の延長は、施設の経費負担軽減と雇用維持という効果をもたらしたが、同時に、働いたら損と考えるスタッフが増える結果となった。苦労して出勤するよりも、仕事を休んで手当をもらった方が楽だと考える人ばかりになっては、その施設に未来はない。
ただし、与える仕事もなく出勤させてもスタッフの士気向上にはつながらない。部署ごとに通常業務以外のテーマを与えて、計画的に取り組みさせると良いだろう。例えば、フロント部門と予約部門、料飲部門が協力して、周辺地域への出張シェフやケータリングサービスを実施するなど企画を検討すると良い。
自粛要請によって宴会場の利用は少なくなっているが、お祝いや法事、会議をしたいというニーズはある。医療機関への提供も喜ばれるだろう。宿泊業から比べると採算性という点で非効率ではあるが、あえて新たなことに取り組むことによって、スタッフの積極性向上にもつながることが期待される。
(アルファコンサルティング代表取締役)