【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 605】少数精鋭組織の作り方4 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、労働集約的なビジネスから脱却し、少数精鋭による効率的な運営を行う方法を紹介したい。今後も稼働が不安定となることを想定すると、最低限のスタッフで効率的な運営を目指すことも有効な手段である。

 4、売上利益の源泉となるコア業務を見極める

 旅館・ホテルの業務は多岐にわたるが、すべての業務に十分な人材を投下しようとすると少数精鋭組織を作ることはできない。売上利益の源泉となっているコア業務と売上利益と関係のないノンコア業務に切り分けて、自社の優秀な人材をコア業務に重点的に配置できるよう組織の再編成を行おう。コア業務の内容は施設によって異なる。料理が売りの施設であれば、客室係やホール、調理スタッフが従事する業務のうち、売上利益に直結するものがコア業務となる。

 客室が売りの施設であれば、施設管理や清掃係、事業企画(改装工事の場合)が従事する業務のうち、売り上げに直結するものがコア業務となる。施設によって大きく異なるので、先入観を持たずに皆さまの施設のコア業務が何か見極めてほしい。

 チェーン展開している大型施設であれば、豊富な経営資源を背景にして、幅広い業務に人材投下することが可能だ。しかし、小規模施設の場合は経営資源が限られることからコア業務の絞り込みが必要となる。自社にとって獲得容易で、維持しやすいものは何か見極めよう。

 これまで料理が売りの施設と位置付けてきたものの、最近は調理人の確保が難しく日常のシフト組みも苦労している状況ならば、コア業務に定義づけない方が良い。将来的に強みとして維持できない可能性が高いからだ。

 住宅地に近く、施設管理や清掃スタッフの確保が容易ならば、客室が売りになるよう方向転換を図ることも一案である。補助金を活用して客室を滞在型に改装しながら、施設管理や清掃を強みとしていく一方、徐々に料理やサービスの見直しを図っていくのである。自社の真の得意分野を見極め、磨いていくことが少数精鋭組織につながる。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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