【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 613】初めてでも分かる補助金獲得法7 青木康弘


 前回に引き続き、補助金申請に慣れていない施設向けに、効果的な獲得方法を紹介したい。これまで申請自体したことがない施設であっても、コツさえつかめば申請は難しいものではない。客室等のリニューアルを行い、業績アップを目指す施設はぜひ挑戦してほしい。

 持続化補助金の資料作成で、申請のやり方に慣れたら高額の補助金を狙っていこう。施設改修を目的とした補助金は、「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」における宿泊施設の高付加価値化改修や、本年6月に第6回目公募が締め切られる「事業再構築補助金」だ。

 これらの補助金は、銀行から資金調達をする時に準備するような収支計画や図面だけでは採択されない。事務局の審査担当者が納得するような魅力的な情報を文章としてまとめる必要がある。

 例えば、市場競合分析や顧客ターゲット、高付加価値化のポイント、施設改修による効果、事業の目標(定量的なもの、定性的なもの)、従業員の労働環境の改善点、地域経済への貢献、テクノロジーの活用などを分かりやすい文章でまとめる必要がある。

 営業開始までのスケジュールも重要だ。計画策定や基本設計、実施設計、建築確認、解体工事、内装・外装工事、設備工事、休業期間などを月単位でスケジュール化する必要がある。工事会社から提出される工程表だけでは情報が不足するので、皆さまの会社独自でまとめよう。その他準備すべきものとして、レイアウト図や現況の分かる写真、施設改修後のイメージパースなどがあると良い。

 ホテル業界特有の財務会計についても理解しておきたい。平均客室単価(ADR)や1室当たり平均宿泊人数(DOR)、販売可能室1室当たり売り上げ(rev PAR)などの指標を理解しておかないと、補助金申請の書類を作成することができないからだ。

 もともと西洋のホテルで使用されていた指標で日本の旅館・ホテルにはなじまないものであるが、苦手意識を持たず知識を身に付けることをおすすめする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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