【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 641】インボイス制度の賢い対応法7 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、インボイス制度の賢い対応法について説明しよう。来年10月1日よりインボイス制度が導入される。インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式をいう。今回の制度改正は、旅館・ホテルの日常業務に大きな影響を与えるものである。また、情報システムの改修も必要となってくる。今のうちから理解を深め準備を進めておこう。

 インボイス制度への準備は、経理部門だけで対応することはできない。社内の部署ごとに業務手順の見直しが必要となる。

 (4)経理部門

 インボイス制度開始にあたり、経理部門で準備することは多い。まず、検討しなければならないのは、適格請求書発行事業者として登録するか否かである。領収書の発行を求められるケースが少しでもあれば登録することをお勧めする。法人への販売がなく、個人に販売する際にも請求書や領収書の発行を求められず、課税売上高が1千万円以下の事業者は、免税事業者のままでいるという選択肢もある。

 次に、社内システムがインボイス制度に対応しているかチェックしよう。システムから請求書や納品書、領収書、売り上げ明細書を出力し、登録番号、適用税率、消費税額が記載されているか確認する。もし記載がなければ、取引しているシステム会社に今後対応する予定があるか確認しよう。対応予定がなければ別のシステムへの変更を検討したい。特に、古いシステムは開発会社が廃業しているケースもある。必要に応じてIT導入補助金を活用しよう。

 仕入先から交付を受けた請求書等もチェックしておこう。手書きの帳票で適用税率や消費税額の記載がなかったり、記載が曖昧だったりする場合は、インボイス制度に申請する予定があるか個別に確認すると良いだろう。

 社内の経費精算ルールも整備して周知徹底しておきたい。3万円未満の公共交通機関の利用や従業員の旅費交通費の精算には、インボイス制度の要件を満たした適格請求書等(領収書)は不要だが、それ以外の経費精算には適格請求書等を提出するよう社内に周知徹底する必要がある。飲食費や法人カードによる交通費の支払いは適格請求書等が必要となるため注意が必要だ。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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