【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 665】業務効率化の実践テクニック〈1〉 青木康弘


 旅館・ホテル業界では深刻な人手不足が問題となっている。その主な原因の一つは、労働生産性が低いことである。作業が効率的でないために、厳しい労働環境でありながら十分な賃金を与えられず、悪循環に陥りやすい状況となっている。今回コラムでは、業務を抜本的に見直し、効率化を図るための実践テクニックを紹介したい。

 1.業務の洗い出しを行う

 業務効率化を推進するための最初の一歩は、各部署の業務を完全に理解することである。まずは業務の頻度(日次、月次、年次)に基づき、出勤から退勤までの時間帯で各スタッフが何をやっているのか一覧にしよう。

 それぞれの業務にかかる時間、必要な人数、作成する文書や資料、準備する料理の数、食器の数なども同時に記録すると良い。特に、1人のスタッフが担当している業務は、念入りに調べることが重要だ。これは、自己保身のために業務内容を他のスタッフに伝えない、いわゆる「ブラックボックス」状態を解消するためである。

 2.不要な業務を削減する

 業務の一覧ができたら、削減可能な業務を特定しよう。着眼点は次の通りである。

 (1)「時間のかかる手作業」=複数のスタッフが人海戦術で行う作業である。チェックインの準備、食事会場のセットアップ、客室清掃などが該当する。人件費が増大し、労働生産性を低下させる要素となるため、作業の改善を通じて削減する。

 (2)「社内外の連絡」=部署間やお客さま、取引先との連絡作業だ。部署間の電話連絡が多い施設は、お客さまや取引先との連絡も非効率的であることが多い。異なる連絡手段を検討し、連絡にかける時間を削減しよう。

 (3)「確認作業」=金額や数値などのチェック作業である。過去に発生したミスや不正を防止するために実施されているケースが多い。ミスや不正が発生しにくいシステムに改善することで削減可能だ。

 (4)「費用対効果の低い業務」=売り上げに対して手間がかかりすぎる業務だ。フロントでの有償サービス、食事会場での特別メニュー、人気のないアクティビティなどが該当する。売り上げ向上の見込みがない場合、これらの業務を削減することを検討しよう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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