【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 667】業務効率化の実践テクニック〈3〉 青木康弘


 前回に引き続き、業務を抜本的に見直し、効率化を図るための実践テクニックを紹介したい。旅館・ホテル業界では深刻な人手不足が問題となっている。その主な原因の一つは、労働生産性が低いことである。作業が効率的でないために、厳しい労働環境でありながら十分な賃金を与えられず、悪循環に陥りやすい状況となっている。

 4.業務を再配置する

 業務の統合が完了したら、次は業務の再配置を検討しよう。業務の再配置とは、業務フローまたは部署間の役割分担を見直し、効率化を図ることをいう。部署別の着眼点は次の通りである。

 (1)フロント=フロントの業務は、チェックイン・チェックアウト業務や電話対応、会計、クレーム対応など多岐にわたる。施設によっては、客室在庫管理やプラン造成、営業、送迎、清掃が加わることがあり、業務効率の低下につながりやすい。施設の規模やスタッフの特性にもよるが、フロント部門は顧客対応に特化させ、会計やマーケティングに関するデスクワーク、送迎や清掃など専門性が異なる業務は別の部署や担当者に再配置することで効率を高めることが可能となる。

 1人のスタッフが複数の部門の業務を担うマルチジョブとは矛盾するように思えるかもしれないが、実際にはその両方に長所と短所がある。複数の業務を担当するか、特定の業務に特化させるか、どちらがより効果的かを比較して、判断すると良いだろう。

 (2)料飲=メニュー作成や食材発注、棚卸し、仕込み、調理、会場のセッティング、配膳、下膳など、料飲部門の業務は多岐にわたる。全ての領域を得意とするスタッフを獲得するのは、特に小規模な施設では困難である。メニュー開発を専門会社に委託したり、仕込み済みの食材を調達したり、発注や棚卸し作業を自動化したりすることも検討したい。食事提供の効率化は、宿泊主体型ホテルが先行しているため、その取り組みを参考にすると良い。

 (3)経理=フロントや営業部門、調理部門での精算、請求、支払いのミスが頻繁に発生している場合、経理部門との業務分担を見直そう。ミスの主な原因として、現場で独自書式の帳票を使用していたり、手書きで検算しにくいものを使っていたりすることが挙げられる。現場で入力した帳票に基づき経理業務が行われるので、経理業務がスムーズにミスなく進行するように、帳票の見直しを検討することをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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