【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 668】業務効率化の実践テクニック〈4〉 青木康弘


 前回に引き続き、業務を抜本的に見直し、効率化を図るための実践テクニックを紹介したい。旅館・ホテル業界では深刻な人手不足が問題となっている。その主な原因の一つは、労働生産性が低いことである。作業が効率的でないために、厳しい労働環境でありながら十分な賃金を与えられず、悪循環に陥りやすい状況となっている。

 5.業務を単純化する

 業務の再配置が完了したら、次は業務の単純化を検討しよう。業務の単純化とは、内容をシンプルにして効率を上げることをいう。着眼点は次の通りである。業務の削減、統合、再配置を経て見直した各スタッフの業務を、頻度(日次、月次、年次)に基づき一覧化し、単純化のためのチェックリストとして活用しよう。

 (1)資料の単純化=運営に必要な情報に絞り、帳票や報告会資料をシンプルにする。昔のスタッフが作成したフォーマットを無批判に使い続けていることは業務効率化の阻害要因だ。旅館の業務における各種フォーマットを見直し、入力する情報量を減らし、エクセルなどでの加工や印刷の手間を削減しよう。

 (2)作業頻度を減らす=計算ミスや不正防止のために現金・金券のチェックを1日に何度も実施することは、業務効率化の阻害要因となる。問題の根本解決にもなっていない。自動釣り銭機の導入やキャッシュレス化、売り上げ取り消しチェックの自動化などにより、手間を軽減させよう。旅館のスタッフの業務は多岐にわたるため、単純化が重要だ。

 (3)業務標準化=売り上げや顧客満足につながらないサービスやお客さまへの説明、料金体系、在庫・発注管理、準備が複雑なものは見直しを検討しよう。例えば、朝食メニューが複雑すぎて調理や提供に時間がかかる場合、メニューの簡素化を考える。ヘルプに入ったスタッフやパートアルバイト、新人でもすぐに業務を覚えられるようにしよう。

 (4)承認プロセスの見直し=議題に直接関係のない部門のスタッフを会議に参加させる、または実質的な権限のない上司への報告・承認を求めるのは時間の無駄だ。旅館の場合、社長や女将が現場の指揮を取ることは珍しくない。意思決定の遅れや無駄な業務が発生しないよう、実態に合わせて承認プロセスを単純化しよう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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