【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 680】ゼロゼロ融資返済を取り巻く実態〈2〉 青木康弘


 前回に引き続き、ゼロゼロ融資の返済を取り巻く実態について説明したい。新型コロナに伴う資金繰り対策を目的とした無担保・無利子融資(ゼロゼロ融資)の返済が大きな問題となっている。旅館・ホテル業界は元本弁済の据置期間が長く、これから返済が本格化する。特に、ゼロゼロ融資を活用して設備投資を行った施設はこれからが正念場となる。

 元本弁済が困難になると、まずは返済条件の変更(リスケジュール)を検討することになる。中小企業再生支援協議会の特例リスケジュールという制度を利用すると、元本弁済のストップは比較的容易だ。しかし、2013年まで続いた金融円滑化法のように、長期間かけて返済していくという出口戦略の考え方ではない。収益力が返済期間内に十分回復しない場合には、第二会社方式やM&Aといった私的整理に移行するケースが増えてきている。第二会社方式は、債務の圧縮手法として以前から多くの旅館・ホテルが利用してきた。地域によっては、2度目の第二会社方式による債務圧縮を行うケースも出てきている。

 もし自力での再生が困難となった場合には、M&Aによる事業売却も選択肢として存在する。しかし、新型コロナの影響を大きく受け、経済回復が遅い地域では、M&Aのスポンサーを見つけることが難しくなっている。特に、新型コロナが流行する前から業績が不振だった施設の場合、M&Aの選択肢は難しいと考えた方が良い。

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