【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 687】宿泊料金の値上げ方法〈5〉 青木康弘


 前回に引き続き、円滑に値上げするための方法を紹介しよう。多くの旅館・ホテルで値上げが実施・検討されているが、人件費や水道光熱費、工事費をはじめとする多くの費用が宿泊料金の上昇を上回るペースで大幅に値上げされている。速やかに対策を講じなければ、赤字に転落するリスクもある。

 旅館・ホテルは、施設の規模によって、抱える課題と取り組むべき施策が大きく異なる。100室以上の大型館は、維持改修費が膨大であることが課題となる傾向にある。パブリックスペースや宴会場の面積が大きく、増改築を繰り返しているため、水道光熱費や改修費がばく大になるからだ。

 そのため、重点的に取り組むべき施策は、省力化と省人化の徹底である。具体的には、IT投資の強化、ロボット・AIの導入、会員の囲い込み、効率化を目的とした改装などが挙げられる。効率化により削減した人件費を原資として、他業種並みの待遇・賃金の改善、福利厚生・退職金制度の導入などを行い、優秀な人材の定着を図ることが望ましい。

 また、地域を代表する施設として、稼働率ではなく単価を重視した販売方針を採ることが望ましい。過度な稼働率の追求やレベニューマネジメントにより、2番手以下の施設から顧客を奪うことは、地域の相場を下げることにつながり、結果的に自らの首を絞めることになる。大型館ほど、地域相場の維持・向上にリーダーシップを発揮することが重要だ。

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